3-Dセキュア普及の理由、初期開発メンバーインタビュー | ScanNetSecurity[国内最大級のサイバーセキュリティ専門ポータルサイト]
2017.11.19(日)

3-Dセキュア普及の理由、初期開発メンバーインタビュー

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ECサイトでクレジットカードを使って買い物をする際に入力を求められるのは、大半のケースにおいてカード番号と有効期限のみで、それにセキュリティコードが加わる場合がある程度だ。もし、ブラックマーケットでクレジットカード情報を購入したり、クレジットカードを盗み見ることができれば不正な決済が可能だ。

クレジットカードやデビットカードを使ったオンライン決済のシーンで、パスワードを入力することでカードの正当な保有者であることを証明する技術がある。3-Dセキュアと呼ばれる通信プロトコルだ。エンドユーザはクレジットカード会社や銀行のWebサイト上であらかじめパスワードを設定しておき、決済時にそれを入力することで実現する。

編集部は、CA Expo ’12 Japanの講演のために来日したCA TechnologiesのJim Reno氏に、3-Dセキュアについて話を聞いた。Reno氏は、VISA社の依頼を受け3-Dセキュアを開発したArcot社初期メンバーとして、3-Dセキュアの開発と普及に深く携わり、2010年のCA TechnologiesによるArcot社買収後は、CA Technologiesのセキュリティ部門のチーフアーキテクトとしてセキュリティ製品全般について責任を負っている。


●3-Dセキュアの普及要因

3-Dセキュアは日本のエンドユーザには馴染みが薄いが、ほとんどのメジャーなクレジットカード会社が採用するなど、世界的には事実上の標準として広く普及している。この要因として、Reno氏はVisaがプロトコル仕様を公開した点、シンプルなプロトコルで技術的に導入が容易な点、金融機関が採用する際の選択肢が豊富な点の3つを挙げた。

1)仕様を公開
Visaは業界全体の利益を考えて、最終的に3-Dセキュアプロトコルの仕様を公開し、無償でライセンス提供をおこなっている。MasterCardも独自にセキュリティ技術を研究開発していたが、後に3-Dセキュアを採用、JCBやAMEXなどもこれに続き、業界全体に広がった。プロトコルの仕様公開によってArcot社以外でも製品・サービスが提供可能になったところから、金融機関の選択の幅が広がった。

2)シンプルなプロトコル
3-Dセキュアは非常にシンプルなプロトコルだ。そのためシステムに3-Dセキュアを組み込むための導入コストが抑えられる。3-Dセキュアより複雑でセキュリティ強度が高いしくみもあったが、導入が容易なことから、3-Dセキュアが市場に受け入れられた。

3)製品・サービスが豊富
「クラウド」という概念が使われる前から、ソフトウェア製品だけではなく、クラウドサービスとして、3-Dセキュアを提供してきた。クラウドインフラを使用してサービスとして展開したため、新技術の採用に慎重な金融機関でもリスクなく採用することができた。CA社はチャネル販売を通じて、大きな売上を上げている。さらに

●海外および日本のセキュリティ対策の動向

Reno氏は、海外ではオンライン取引における3-Dセキュアの導入は進んでいるという。セキュリティ対策は安全性、ユーザエクスペリエンス、コストのバランスをとりながら実施されるが、世界の地域ごとにかなり違った対策が取られている、と述べた。

Reno氏の印象では、日本はセキュリティ対策のみならず技術一般で最新技術の採用に積極的だという。たとえばJCB社では「J/Secure」という名称で3-Dセキュア技術をユーザに提供しているが、これはVisa、MasterCardに続き、世界で3社目という導入の早さであった。

ただし、3-Dセキュアはクレジットカード会社では対応しているが、日本ではクレジットカード加盟店側へは浸透していない。社団法人日本クレジットカード協会では、なりすまし防止のために3-Dセキュア等の対策を実施するよう、2012年春、加盟店に呼びかけている。

また、実店舗でのクレジットカードの使用時に、欧州では、PIN(Personal Identification Number)と、カードに埋め込まれたチップによる認証が広く浸透している。一方、米国ではPINとチップは導入されておらず、米国で発行されたカードを欧州の店舗で使おうとすると、チップがないために使用できないケースもあるという。

海外では、3-Dセキュアに付加されるサービスとして、インテリジェントなリスクベース認証の活用も進んでいる。CA Technologiesの認証製品RiskMinderを用いて、それまでのカード利用履歴と比較し、利用者のIPアドレス、金額、決済頻度などの面から高リスクと見なされる取引を炙り出して、さらに詳細な本人認証を要求したり、カード利用を停止することも可能だ。これにより、ユーザエクスペリエンスを維持しながら、セキュリティの強化を図るという。

(株式会社イメージズ・アンド・ワーズ 鳴海まや子)
《ScanNetSecurity》

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