ふだんはカナダのバンクーバーにお住まいの作家・評論家の一田和樹先生が日本に滞在しているとのことで、先週末、打ち合わせのために都内でお会いすることになりました。
午後 4 時少し前に、指定された渋谷マークシティのオフィス棟受付階からエレベーターを下った場所に赴くと、どこかからピアノの生演奏の音が聞こえてきました。
あまり知られていないのですが、この建物では、誰でも自由に弾いてよい「ストリートピアノ」として、ヤマハのアップライトピアノが設置されています。本誌読者にとって「ヤマハ」といえばネットワーク製品かもしれませんが、もちろんピアノの国際的メーカーでもあるのでした。
決して流麗とはいえないタッチながら、ハートのある暖かい曲を弾いていた初老の紳士こそ、一田和樹先生その人でした。これもあまり知られていないことですが、一田先生は毎冬バンクーバーの雪深い小さな街に閉じ込められ、同じ毎日を何度もくり返すうちに一念発起し、ピアノを学んだといいます。
我々はすぐ、待ち合わせ場所から至近のバーに移動しました。通常編集会議は喫茶店などで行われますが、今回は編集会議以外にもうひとつ、一田先生にお願いすることがあったからでした。
それは、現在 ScanNetSecurity は創刊 24 周年キャンペーンを実施しており、キャンペーン登録者の方への特典として、日頃小説や評論などの寄稿をいただいている一田先生の著作をプレゼントすることになっており、その著作十数冊(けっこうな量)に直筆サインをいただくということでした。
一田先生は、新宿西口の但馬屋珈琲店や、池袋のマダムシルク、札幌のカフェランバン等々、作品世界に「実在するカフェ」が登場することで知られています。(編集部註:マダムシルクは惜しまれつつ閉店しております)
一田作品に登場する店をいくつか尋ねたことがありますが、珈琲の素晴らしさだけでなく、店内の雰囲気に蓄積された時間の重みが漂っており、毎回、いまとは違う別の人生を持っていたような不思議な気持ちにさせる場所ばかりです。
今回の打ち合わせ場所は、現在 ScanNetSecurity にて連載中の「サイレントクーデター 超限政変」の連載第 16 回の舞台ともなった、渋谷にある「Cheers」という店でした。
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小説の中の登場人物、米サイバー民間軍事会社から孫請けか被孫請けで雇われている「廃島 九弾(はいとう くだん)」は、主人公の工藤と Cheers で初めて面談し、その際に「この店は四時から開店で、今日は私が口開けの客でした」と、「口開け」という古めかしい言葉使いで工藤を気持ち悪がらせます。
季節のカクテルとして「柿」のカクテルを飲みながら一冊一冊ていねいにボールペンで直筆サインしていただいたサイン本が特典としてもらえる(希望多数の場合抽選となります)創刊 24 周年キャンペーンは、今月末迄、来週水曜 11 月 30 日まで実施しております。
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セキュリティの仕事をなさっている方、セキュリティを仕事にあるいは自社の事業にしたい方、セキュリティを軸足に仕事やキャリアをお考えの方は一度ご検討下さい。来週水曜 11 月 30 日までです。
追伸 一田和樹先生がストリートピアノで弾いていたのは、エルトン・ジョンの「YOUR SONG」という曲でした。