Computer Security Institute が FBI と協力して実施した『2003年 コンピュータ犯罪調査』によると、米国の調査対象者のほぼ 13% がこの一年の間に ID 窃盗の被害に遭ったことがあると回答した。同報告書の作成者は Bloor Research の Fran Howarth 氏。また米国における同年の ID 窃盗による損失額は合計で 500 億ドルに達すると推計された。
ID 窃盗は、社会保障番号、運転免許証番号、金融カード、銀行口座情報など個人を特定する個人情報の盗用を指す。その情報は、ローンやクレジットカード、雇用、医療サービスそして貸家、抵当権などを不正に入手するために使用される。
従来、そのような情報が窃取される経緯は、個人の不注意によるものが殆どだった。つまり、個人情報を守るための十分な注意を怠ったことに起因する(具体的には、情報を廃棄する時)。米国の個人情報窃盗者にとって宝の山の一つは、一般家庭や会社のゴミ箱だ。全 ID 窃盗の 70% ほどがゴミ箱に廃棄した情報から盗んだものとされている。
しかし、インターネットの使用が普及するにつれ、オンライン ID 窃盗も増加しつつある。では、なぜ企業は警戒すべきなのか? 先ず、クレジットカードおよび銀行口座情報の窃盗が ID 窃盗の最も一般的な動機の一つだ。しかし、そのような詐欺事件では通常、消費者の損害の上限が定められており、金融機関に事後処理が委託されるのだ。
MasterCard 社によると、全ての詐欺事件の中で ID 窃盗が占める割合は 7% で、深刻さを増す問題となっている。さらに、クレジットカードを実際に提示しない決済時の詐欺は全体の 60% を占めている。但し、その全ては ID 窃盗による詐欺事件とは限らないが、急速に増加している領域だ。