SlammerはSapphireの別名を持ち、マイクロソフトのSQL Server 2000およびMSDE(Microsoft Desktop Engine)2000を搭載するサーバをターゲットとしたワームである。そのため個人ユーザが感染する可能性は低い。しかし、Slammerに感染したサーバはランダムに選んだIPアドレスにSlammer自身をひたすら送信し続ける。この際送信されるデータはわずか376バイトであった。そして最初の10分間で全感染サーバの約90%に拡散した。376バイトのデータとはいえ、次々に感染したサーバがそれぞれSlammerを送信するため、ネットワークのトラフィックが急激に増大し、結果としてサーバがダウンしたりネットワークが極端に遅くなった。ある大学のコンピュータでは、1時間に20万件もの送信が行われたという。 Slammerによる被害は、特に韓国で深刻なものとなり、大手ISPであるKT社のDNSシステムに影響し、インターネットサービス全体を停止させた。また、地域によってはダイヤルトーンが聞こえなくなったり、飛行機が飛べなくなったり、ATMが使用できなくなるといった、一般の生活にも影響を与えた。
SlammerはマイクロソフトのSQL Server 2000およびMSDE(Microsoft Desktop Engine)2000の脆弱性を悪用したワームだが、マイクロソフトでは昨年の7月にこの問題を公開、対策パッチも提供されている。このパッチを当てていれば、Slammerによる攻撃は回避できたのである。しかし、サーバでのパッチ作業は簡単ではなく、それはSlammerによってマイクロソフト内のサーバが感染していたことでもわかる。たとえ個人レベルでウイルス対策を行っていても、サーバが感染しインターネット自体が混乱したり使えなくなる可能性があることを認識したい。