株式会社白夜書房は11月14日、同社の刊行する「HackerJapan」誌を、現在販売している2013年11月号を最後に休刊すると発表した。同誌は不正アクセス禁止法施行前の1998年10月に創刊(店頭に並んだのは9月)され、コンピュータウイルスのグローバルアウトブレイクや、個人情報保護法施行以降の情報漏えい事故の多発やAPT攻撃など、それぞれの時代毎に、コンピュータセキュリティの専門家を志す個人のさまざまなニーズに応え続けることで、ITセキュリティの一角を牽引してきた。創刊初期こそ、媒体名から想像されるアンダーグラウンドな内容が展開されたが、中期以降は、セキュリティ企業の技術者や、エンジニア、プログラマーなど、企業内の個人に向けた堅実で業務にも役立つ誌面作りが行われた。広告収入ではなく、実売売上と、定期的に刊行するムックの売上のみで運営を続けた。白夜書房の斉藤健一氏が創刊から一貫して15年間編集長を務めた。同誌寄稿者からは、セキュリティ研究者はもとより、セキュリティ系ベンチャー企業の社長や、海外で行われるセキュリティコンテストの上位入賞者、サイバーミステリ作家など、多数の人材を輩出した。同誌はまた、ティーンエージャーの読者を多数抱えていたことで知られており、若い世代の育成が課題となっているITセキュリティ業界の希望のひとつと目されていた。