海外における個人情報流出事件とその対応 第212回 人気のiPhoneにしのびよるマルウェアの危険 (1)データ盗難を行う2つ目のワーム | ScanNetSecurity
2021.06.19(土)

海外における個人情報流出事件とその対応 第212回 人気のiPhoneにしのびよるマルウェアの危険 (1)データ盗難を行う2つ目のワーム

 携帯電話、iPod、インターネットデバイスが1つになったアップル社のiPhone。2007年6月の発売以来、米国スマートフォン市場でのシェアを急速に伸ばしている。どちらかというとビジネスパーソンに人気のブラックベリーのほうが北米でのシェアは大きいが、ゲームやエンタ

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 携帯電話、iPod、インターネットデバイスが1つになったアップル社のiPhone。2007年6月の発売以来、米国スマートフォン市場でのシェアを急速に伸ばしている。どちらかというとビジネスパーソンに人気のブラックベリーのほうが北米でのシェアは大きいが、ゲームやエンターテイメントのアプリについてはiPhoneのほうが魅力だとして、若手を中心にユーザーが急増している。

 一方、人気の高まりに従い、ハッカーなどのターゲットになるのは避けられないだろう。予測を裏付けるように、11月になって、世界で初めてワームが見つかった。

 iPhoneのマルウェアについては、11月8日にセキュリティ企業SophosのGraham Cluleyがブログで報告している。このワームはオーストラリアで発見されたiKeeだ。感染するとiPhoneユーザーの壁紙が、1980年代に人気だった英国人歌手、リック・アストリーの画像に変えられてしまう。

 また、侵入されるのはjailbreakを行ったiPhoneだ。iPhoneはアプリケーションのダウンロードを規制するため“ロック”されているが、jailbreakを行い、ロックを解除することで、アップルが承認していない、App Storeで配布や販売がされていないアプリケーションを利用することができる。

 ほかにも、SSHと呼ばれるサービスをインストールできるようになるが、その際、デフォルトのパスワードを変更していないと感染する。多くのユーザは、SSHを用いて、iPhoneをつないだり、ファイルの転送などを行う。侵入後は、モバイルフォンのネットワーク上にある、同様に脆弱性を持つ他のiPhoneを探し出して、感染を拡げようとする。

 8日にSophosが発表したiKeeワームの活動はiPhoneに限らず、iPod Touchに対してもだ。ワームの攻撃はjailbreakを行っている、もしくはSSHをインストールして、パスワードを変更していないiPhoneとiPod Touchのみに対してだ。SSHをインストールした場合には、接続のためにデフォルトのパスワードが設定されている。Jailbreakしたアプリでは、パスワードを変更するように警告が表示されることがある。変更時に、辞書にあるような言葉は選ばないほうが良いと、Cluleyはアドバイスしている。

 Sophosはワームのコードを分析して、ブログが書かれた11月8日の時点では、4種類の変異体が作られているようだとしている。そして最新の変異体は、Cydia アプリケーションのファイルパスを用いて、その存在を隠そうとする。CydiaはiPhoneOS向けのソフトウェアアプリで、jailbreakしたiPhone やiPod Touchで使用する。

●デフォルトのパスワードを変更しない危険

 iKeeの危険性は低いものだが、システムに入ると除くのが難しく厄介だ。ソースコードを調べたSophosでは、ワームは試しに作られたようだという見解を示している。また、コードに書かれたコメントのうちの1つでは、ユーザーがSSHをインストールした際に指示に従わないで、デフォルトのパスワードを変更していないことを非難している。パスワードを変更しているiPodはこのワームに感染しないからだ。

 その後、21歳のオーストラリア人Ashley TownsがこのiKeeワームを作成したとわかった。Townsはオーストラリアのテレビ局ABCに対して、iPhoneのデフォルトのパスワードを変更しない危険についてユーザーに知ってもらうためにワームを作ったと話している。

 ソースコードに続いて、Townsはインタビューにおいても、パスワードを変更しないのはユーザの“不精”だと指摘。また、iPhoneにハッキングすることは簡単であることを証明したと語っている。“悪意のある人”が、SMSを読んだり、アドレスブックのコンタクトリストや画像を見るなど、様々なことをすることができるということを証明したことで、ユーザがjailbreakしたiPhoneのパスワードを変えない危険性を理解することを期待しているという。

 自身については、ユーザーの認識を変えるために行ったとして、悪意はなかったと主張している。iKeeはiPhoneの壁紙を変えてしまうぐらいで、マルウェア除去も難しくはないという。パスワードを変更して、幾つかのファイルを変更すればよいだけだ。このTownsの発言は、一部のセキュリティ関係者の、除去が難しいというコメントとは異なる。Townsは感染したiPhoneの数は100個ぐらいかと考えているが、実際のところはわからないという。

●データ盗難を行う2つ目のワーム

 壁紙を書き換えるiKeeが見つかった3日後の11月10日、Integoがブログで、iPhoneから個人情報をコピーするハッカーツールが見つかったと発表している。IntegoはMacintosh用のインターネットセキュリティを提供する会社だ。iPhone/Privacy.Aと名づけたワームはjailbreakを行い、パスワードを変更していないiPhoneやiPod Touchでe-mailやSMS、カレンダー、画像、音楽ファイルをはじめさまざまなデータをコピーする。

 iPhone/Privacy.AはPythonで作成されている。ツールをコンピュータにインストールすると、アクセス可能なネットワークを探す。コンピュータはMac、PC、Unix、Linuxなど、さまざまなプラットフォームで使用が可能だ。そしてjailbreakを行ったiPhoneを見つけると、侵入してデータを盗み出す。

 Integoによると、このツールは簡単にインストールできるという。そして、例えば、小売店で…

【執筆:バンクーバー新報 西川桂子】

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