ADRとインターネット【前編】 | ScanNetSecurity
2024.04.26(金)

ADRとインターネット【前編】

●ADRとは

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●ADRとは

 ADRとは、裁判外紛争解決手続のことである。といっても、何が何だかさっぱりわからないであろう。筆者もわからない。ようするに裁判以外の解決方法のことを指すらしい。分野は民事に限定される。

 仲裁、調停、あっせんなどがこれに当たるらしい。そう考えると民事調停とか仲裁なんかは昔から行われていたので、さほど珍しいものでもないような気がする。

 ただし、昔とちょっと違うのは、平成16年に「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」が国会で成立し、平成19年4月1日から施行された点である。これにより、ADRの法的な側面が整備され、活用しやすくなったことになる。

 従来と異なるのは、ADRの認証制度である。ADRは、仲裁、調停、あっせんなどを行うわけだが、それを行うのが公正中立な第三者機関となる。この公正中立な機関を国が認証するのが、この「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」なのである。

 裁判のような面倒くさい手続きを経ないで迅速、柔軟な解決を期待できるADRであるが、実際に間に立ってくれる第三者機関がちゃんと公正中立に進めてくれるかどうかは、一番気になる点である。

 法務大臣が、信頼に値するADR事業者を認証してくれるので頼む方としては一安心である。

かいけつサポート 法務大臣による裁判外手続きの認証制度
http://www.moj.go.jp/KANBOU/ADR/tetsuzuki.html
裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(概要)
http://www.moj.go.jp/KANBOU/ADR/adr01-02.pdf
ADR JAPAN
http://www.adr.gr.jp

●ADR ECOM&JIPDEC編

 このADRは、インターネット上での今後活用されるそうな気配がある。既に(財)日本情報処理開発協会電子商取引推進センターと次世代電子商取引推進協議会(ECOM)では、ADRの実証実験を行っている。その結果は、報告書にまとめられてPDFで公開されている。

インターネット関連ADR実証実験 報告書
http://www.ecom.or.jp/results/h17seika/07_%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E7%9B%B8%E8%AB%87%E3%83%BB%E7%B4%9B%E4%BA%89%E8%A7%A3%E6%B1%BA%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB.pdf

 2003年から2005年の間、ECOMに「ネットショッピング紛争相談室」が設置されて、ADRによる解決の実験が行われていた。

 相談で多かったのは、ワンクリック詐欺の契約に関することのようである。トラブル対象商品の40%以上(2004年、2005年)が有料サイト、トラブル内容では契約の有無が40%以上(2004年、2005年)と、やはりもっとも多かった。

 解決方法としてもっとも多かったのが、「助言」で全体の90%以上を占めた。
ADRなのに助言というのは、なにやら物足りない感があるが、さらに物足りない感を倍増してくれるのがその成果である。助言で問題が解決できた割合は、23%と少ない。

 助言の次に多いのは「あっせん」である。筆者に読解力がないせいか、あっせんというものがどういうものかイメージがわかない。筆者の読解力と想像力の範囲の、あっせん、とは、下記の2点のようなイメージである。

・助言と異なり、問題の解決に向けての支援する
 助言の場合は、助言を求めてきた相手の立場に立つが、あっせんの場合は、問題の解決を優先するために、相談に来た相手に対しても譲歩を求めたりすることがある。優先するのは問題の解決であり、相談者の利益はその次ということになる。

・相談者だけでなく相手方に対しても働きかける。当然、相手に、あっせんを受け入れる用意がないと成り立たない。

 あっせんは、全体の8.5%で解決に至ったケースは、その約14%と情けない結果に終わっている。

 調停はより積極的にADR事業者が介入する方法で、調停案を示したりするらしい。調停のケースは、全体の0.5%ともっとも少ないが、成功したのは約67%ともっとも高い。ただし、報告書によると積極的に関与するために、コストも時間もかかるということである。

 時系列で見ると、調停、あっせんは減少し、助言が増加している。このことについて報告書では…

【執筆:Prisoner Langley】
【関連リンク】
セキュリティコラムばかり書いているLANGLEYのブログ
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