安全な国、ニッポンは昔の話と云わんばかりに残酷なニュースが、時折流れるようになってきた。それでも、日本は海外と比べると、まだまだ安全と考える人は多い。平成19年の殺人発生数は戦後最低だそうなので、そういった意味では“まだまだ、安全になりつつある”国なのだろう。このことは、ネットワーク上においても同様だ。オンライン取引では多段認証が行われているので安全、重要情報などないのでAntinnyウイルスに感染しても大丈夫、などのように考えてしまうWinny関連ウイルス、アカウントハックなどへの意識はその典型だ。そもそも、日本ではユーザの情報リテラシーの問題以前に、「安全」であることが基準として考えられている。“安全・安心”はホワイトリスト的な考え方を忘れてはならないのである。平和ボケもここまでくると脅威だ。●日常のセキュリティ意識は、ネットワーク上にも影響する。北〜東欧諸国に行った際に、街全体にピリピリした空気を感じた国がある。建物が崩壊したりと街全体が荒れているところもあるが、それとは異なる、一瞬の隙も見せられないといった感覚だ。貧富の格差が大きい国々が多いことも影響しているせいか、スリや詐欺の多い国は多々ある。犯罪行為が日常的である国々では、身構えながらの生活は当たり前なのだろう。筆者の泊まったホテル(3つ星)は、ネットワークセキュリティの設定も強固だった。UDPは利用禁止(VPNが利用できない!)、インターネット接続は80/tcp、443/tcpのみだ。これは、ホテルのLANを経由しネット犯罪に悪用する輩がいるせいであるかは不明だが、一般的な日本企業よりも強固な設定だ。全てのホテルがこのような設定なっているとは考えられないが、このようなホテルに泊まれたことはラッキーだったかもしれない。もちろん、盗聴されている可能性は大である。ちなみに、最近多いWi-Fi 接続だが、普及率を無視すると、ブカレストやヘルシンキでは、東京よりもWEPの設定率が比較的高かったように思う。最も、インターネットマンションが乱立する日本とでは比較にならないが。●携帯電話のセキュリティ欧州諸国に限った話ではないが、携帯電話のセキュリティは、もはや世界では当たり前。お隣中国では、携帯電話のウイルスがアンダーグラウンドで売買されているほどだ。Nokiaショップへ行くと、F-Secureのアンチウイルスソフトウェアが売られているし、フリーでダウンロード可能な製品も当たり前だそうだ。日本で、中々普及しない理由として、スマートフォンの普及率の低さや、日本の携帯電話のOSが世界標準でない(海外ではSymbian OS、Windows mobileが一般的)など様々な理由が考えられる。アンチウイルスベンダー関係者の話によると、欧州ではインターネットバンキング利用者を狙った標的型攻撃は多く、ユーザの関心も高いのだそうだ。携帯電話に感染するウイルスの多くは、メールなどによりユーザのクリックを誘うフィッシングタイプばかりだ。そのため、ユーザの操作に依存してしまうことが問題となり、根本的な解決が難しいといえる。しかも、限られた機種のみが影響を受けることが多いため、あまり大々的な問題とならない。アンチウイルスベンダー関係者によると、現在のところ日本の携帯電話に致命的な影響を与えるウイルスは…【執筆:二根太】──※ この記事は Scan購読会員向け記事をダイジェスト掲載しました購読会員登録案内http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec