ビッグ・ブラザー2024 ~ 監視カメラと画像分析 その高成長市場と国際動向 | ScanNetSecurity
2024.06.27(木)

ビッグ・ブラザー2024 ~ 監視カメラと画像分析 その高成長市場と国際動向

 日本で監視カメラや CCTV と言えば、要監視施設等に設置してそれを録画して、何かあったら再生するという、インターネットもパソコン通信もなかった時代のスタンドアロン PC のような貧しい使い方しか想像力が及ばない。しかし中国や合衆国のような、治安維持のための人権制限を合法とする国では、街頭や交通機関、店舗、オフィスなど都市の至る所に設置した画像を XDR や SOC のように集積し、かなりドラスティックな解析を行う。

研修・セミナー・カンファレンス
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 画像解析技術の発達によりセンサーとしてのビデオカメラ、CCTV(Closed-Circuit TV)の需要は増すばかりだ。韓国で開催されたカンファレンス「SECON 2024」では、画像監視の国際動向、市場規模等に関するセミナーが行われ取材する機会を得た。

 SECON 2024
 https://www.seconexpo.com/

 監視カメラ、サーマルカメラなどのネットワーク化された CCTV の市場は、コロナ禍を契機に世界中で広がったが、その後もマーケットは年々伸び続けており 10 %成長があたりまえになっている。これがほんとの「監視資本主義」である。

 日本で監視カメラや CCTV と言っても、要監視施設等に設置してそれを録画して何かあったら再生するという、インターネットもパソコン通信もなかった時代のスタンドアロン PC のような貧しい使い方しか想像力が及ばない。しかし中国や合衆国のような、治安維持のための人権制限を合法とする国では、街頭や交通機関、店舗、オフィスなど都市の至る所に設置した画像を XDR や SOC のように集積し、かなりドラスティックに解析を行うのがこうした監視市場と技術の真骨頂である。

 この市場は、カメラやレンズなどのハードウェアだけでなく、クラウドストレージや AI による画像認識を含むソリューションビジネスや、データを集積するサーバやネットワーク機器、ソフトウェアやソリューション部分だけ切り離したサービスプロバイダーも存在し、関わるプレイヤーは多岐にわたる。

 国際市場の調査を行ったのは英国に本拠を置く調査会社の OMDIA 社。登壇者は調査レポートを担当した同社のプリンシパルアナリスト、Tommy Zhu 氏。なお、セミナーは撮影禁止だったので、テキストがメインの記事となり、グラフなどを図示することはできない。監視産業の講演で撮影禁止とは何か皮肉めいてもいる。

●世界で広がる CCTV および VMS 市場

 Zhu 氏は「調査はグローバルでの CCTV 市場の概要、そして関連するセキュリティシステムやソフトウェアサービス関連、そして最後に主だった CCTV メーカーの勢力図について解説する」とした。ここでいう「セキュリティ」とは、カメラ映像などを利用した入退室の管理、異常検知などを指す。調査対象のデータは 2023 年 7 月までのもので 2022 年のデータを含む。2023 年については半期のデータをもとに予測を含めて分析している。

 Zhu 氏によれば 2023 年の物理セキュリティの市場規模は 1,970 億ドルに上るという。物理セキュリティには「一般的な鍵」「防犯・防災関連」「金属探知」「薬物検知」「各種異常検知」「アクセス制御」「入退室管理」など幅広い分野が含まれる。レポートはこの中でも CCTV に関する項目を深く掘り下げている。CCTV に含まれるカメラハードウェアは、アナログカメラ、ネットワークカメラ、防爆カメラ、サーマルカメラなどだ。

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 このような監視カメラシステムは、一般に VMS(Video Management System)と呼ばれる管理分析ソフトウェアとともに運用される。単に録画を撮りためているだけの管理をしている場合もあるが、画像認識によって異常や不正を検知するサービスも増えている。工場などで工程ミスや不良品の検知にもこのような録画統合管理ソリューションが以前から運用されている。

 「このような市場を合わせると、ビデオ監視市場は 2022 年に 250 憶ドル規模だったと推定される。しかも、この数字は 9 %成長が見込まれ、2023 年は 380 億ドルに達すると見込まれる(Zhu 氏)」


《中尾 真二( Shinji Nakao )》

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