利用者から見た電子自治体、電子政府(17) 〜データベース | ScanNetSecurity
2024.04.26(金)

利用者から見た電子自治体、電子政府(17) 〜データベース

●政府のデータベースの充実が進んでいる

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●政府のデータベースの充実が進んでいる

 行政情報の電子的提供に関する基本的考え方(指針)平成16年11月12日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定( http://www.e-gov.go.jp/doc/20041112doc1.pdf )によると、行政活動の現状等に関する情報のうち、統計資料その他の公表資料(可能な限り詳細なデータをデータベース等で提供する)とされている。この指針によって、データベースの公開は、非常にはやいテンポで進んでいる。かつて、パソコン通信が全盛だった1990年の頃、国立国会図書館の図書検索データベースが有料だったのとは雲泥の差である。正確な記憶ではないが、1分利用すると100円くらいかかった。もちろん、現在は国会図書館の蔵書検索は無料で利用できる。

 自治体、政府には莫大な情報の集積があり、その中には自治体や国の発展に有用な情報がたくさん存在する。それらは国民の税金を使ってつくったものだから公開すべきだというのが指針の考え方である。そして、この指針の考え方は、以前に述べたように、公開情報の無料化の流れとも合致していると言える。本来公開されている情報へのアクセスが、インターネットの登場によって無料化への圧力を受けているのである。紙媒体ですら、無料のフリーペーパーや雑誌が伸びてきている。韓国では、無料の新聞が普及しはじめている
( http://blog.odn.ne.jp/seoul/archives/000701.html )。

 もちろん、情報をインターネット上で提供するにはコストがかかるので、費用対効果のバランスは問われるべきだろう。しかし現在、生成される情報は、原則的にデジタル化が前提である。自治体、国、企業、一般の国民の多くがつくっている情報は、デジタル化されているものである。それらにインデックス(索引)をつけて、インターネット上に公開するのは、もはや、紙媒体からの変換がないので、コストがそれほどかからない。特に生成のときから、的確なインデックス(索引)をつけておけば、データベースのデータとして公開するのは非常に容易である。データベースは、官民問わず次から次へと公開されてゆくだろう。


●こんなデータベースが公開されている。

 こんなものが公開されているという事例をいくつか見てみよう。データベースというと検索ができるのが前提ではあるが少し広げて、統計情報に近いもので面白いものをあげてみる。以前もあげたが市場に関する情報である。現時点の情報の価値が重要な、カレントアウェネスの見本である。農林水産省の市場情報からたどれる( http://www.maff.go.jp/www/info/mreport.html )畜産関連の情報がそれである。日ごとのと畜情報が見られる。つい最近まで市場の最新情報は一般に簡単には手にはいらず、また、デジタル化していないために、パソコンによる分析等をすぐにするわけにはいかなかった。しかし、これらの情報をもとに市場分析をすることは、費用対効果的に十分に可能になっている。生産になんらかの変動があれば、分析している人にはすぐにわかる。リアルタイムに近い情報が公開されることは、市場や世の中の動きに関して、誰もが基本的な情報を事実上無償で入手できるようになることである。こういった情報をもとに、分析して情報圧縮して、理解しやすく、利用しやすいように情報加工することも十分に可能である。

 民間の例ではあるが、ヤフーオークション情報を分析しているサイトがある( http://www.aucfan.com/ )。日々変わるヤフーオークションの公開情報から、統計を生成しているのである。毎日ベース、時間ベースで、集積される自治体、政府関連の情報はある。そういった情報をインターネット上にこれから惜しげもなく、自治体、政府は公開してゆくだろう。今後そういった生のリアルタイム情報のデータベースを情報圧縮するWebページも、ヤフーオークションのようにでてくるだろう。


【執筆:武井明】

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec
《ScanNetSecurity》

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