利用者から見た電子自治体、電子政府(4) 〜利用者から見たインフラの整備 | ScanNetSecurity
2024.04.27(土)

利用者から見た電子自治体、電子政府(4) 〜利用者から見たインフラの整備

●インフラとは ─ネットワーク、端末、コンテンツ(サービス)

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●インフラとは ─ネットワーク、端末、コンテンツ(サービス)

 電子自治体、電子政府も、利用者がインターネットに接続できないと意味がない。そこで、インターネット接続のインフラの整備が重要になる。インフラは、少し意味を広くとり、大雑把にわけるとネットワークインフラ、端末インフラ、コンテンツ(サービス)インフラになる。

 ネットワークインフラは、ネットワークが来ていなければ、インターネットにはつなげないので、もっとも基本的なインフラである。現在日本では、主要な地域には、ブロードバンドネットワークが敷設されており、世界的に見てもかなり進んだブロードバンドインターネット先進国である。そこで、ネットワークインフラで問題となっているのは、過疎地などでネットワーク敷設のコストである。特に利用者が少ない地域へのネットワークの敷設に関してのコストに関しては政府による援助が重要であり、平成16年度情報通信白書( http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h16/pdf/G3070000.pdf )の264ページにあるように、携帯電話と、光ファイバーに関する援助事業が行われている。また、集合住宅やビルで問題になることもある。すぐそばまでネットワークがきているのにつなげないということが起こったりする。

 パソコン等の端末がないと、インターネットは利用できないので、端末がつかえることを一種のインフラと考えることができる。端末になるパソコンに詳しい人が身近にいなかったり、トラブルのときにサポートしてくれる人がいなかったりすると、事実上パソコンを使うのは難しい。また、価格的にも、パソコンはかなり高価なものなので、購入を躊躇する場合もあるだろう。そういった端末をどうやって多くの人に普及させるかは、実は大きな問題である。特に、故障や、ウイルスや不正侵入等のセキュリティの問題は実際の利用がはじまると利用者に負担を強いるものであり、事前の対応がなされていることが望ましい。そこで、各家庭や企業が導入するパソコンに関しては、きちんと告知してサポートのある製品を購入することと、しっかりセキュリティ対策してもらうように宣伝をして、必要に応じて、セキュリティも含めた講習会等を自治体は開催する必要があるだろう。また、公共機関が提供するパソコン等を端末にして、有線もしくは無線LANのアクセスポイントを提供する場合には、きちんとしたセキュリティの対策が必要である。

 最後のコンテンツインフラは、インフラというにはやや微妙な内容であり、現在はまだあまり意識されていないが、重要な課題である。簡単にいえば、コンテンツがなければ、インターネットを使う人はいないだろうということである。インターネット接続はそれなりにコストがかかる。月2000円〜4000円程度余計にかかるのが、通常だろう。今まで、インターネットを使ったことのなかった家庭にとって、いきなり2000〜4000円の月額負担は、経済的に抵抗があるだろう。そこで、インターネットを利用するには、十分に魅力的なコンテンツ(サービス)が存在することが重要になってくる。導入してすぐに日常的に利用する価値のあるコンテンツや、サービスが、最初から存在することが普及には重要である。


●ネットワークインフラ

 ネットワークインフラに関しては、まず、携帯電話が利用者のもとめるものだろう。これは、無線なので、割と楽にすすめることができる。無線用の鉄塔に、新たに財源を確保してすすめることが計画されている( http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/yuko/040617_2.html )。次は、光ではなくて、せめてADSLはなんとかしてほしいとのが利用者の本音のはずである。

 ADSLの普及に関しては、都道府県の統計が総務省の資料( http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/pdf/040427_2_s3-3.pdf )の151ページにある。鹿児島や、青森の普及率が低くなっている。都道府県レベルの格差がかなりあるといえる。特定の地域で見ると、島根に関しては、NTTのフレッツの情報( http://www.fclub.jp/shimane/information/area/index.html )ではあるが見ることができる。ブロードバンドに関しては、まだまだ地域格差が残っているといえるだろう。低速のISDNでさえ使えない地方が西日本にはまだ結構あるといわれている。

 上記の島根のような地図が、全国的にはないので、状況は不明ではあるが、まだ、ブロードバンドの恩恵を受けられない地域がまだまだあると思われる。そこで、この状態を解消するための解決策としては、無線の活用がある。長野の事例( http://bunnahabhain.root-hq.com/case/nagano.html )では、ペンションを結ぶ無線インターネットである。これらのペンションはネットワークにつながってから、収益が10〜40%もアップしたそうである。かなり経済的効果も大きいといえる。もちろん、ブロードバンドの本命は、光回線ではあるが、ペンションのある山間部や、離島のようなネットワーク敷設の極めて困難な地域では、このような無線LANを使ったインターネット接続は費用対効果において、今度も有効だろう。


【執筆:武井明】

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec

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