Trend Micro社の技術責任者Marc Blanchard氏は「クラッカーがウイルスを使って企業のイントラネットに悪意あるコードを潜ませるケースが増えている。従ってアンチウイルス・ソフト開発会社は従来のウイルス検出に加え、これからは悪意あるコードにも目を光らせなければならないだろう」と警告した。これは、ウイルス作家がクラッカーにもなり得るという数年前には想像すらできなかった傾向だ。 同氏によると、昨年(1999年)は自己増殖型ワームやウイルス、ステルス・ウイルス、マクロ・ウイルスなどの発生が目立った。そして、それらのウイルスを組み合せてウイルス技術を使ったトロイの木馬やofficeのマクロを使った電子メール型ワームなどが出現した。例えば、広範囲に感染が認められたKAKウイルスは添付ファイルにではなくメールの署名にウイルスが潜んでいる。この傾向は今後、半年程続くだろうと同氏は予測する。 また同氏が初めてアンチウイルス・ソフト開発研究に携わった1986年当時を振りかえり「ウイルス作者とハッカーは全く別のグループで、むしろ互いに憎み合っていた。しかし、現在はその境界線はなくなりつつある」と説明した。また、ウイルス作者はWAP(Wireless Application Protocol)やPalm OSといった新しいプラットフォームを次なるターゲットに据えていると考えられている。しかし、Palm OS機器を狙ったウイルス感染は難しく、現段階ではその脅威は小さいとしている。