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2017.12.15(金)

海外における個人情報流出事件とその対応 第181回 政治や攻撃に利用されるネット (2)単純ではないハックティビズムの問題

国際 海外情報

●注目されるプロパガンダへの利用

 ウェブサイトへのDoS攻撃などの、ハックティビストによる活動が活発になっている背景には、あらゆる点でインターネットの影響力が大きくなり続けていることが挙げられるだろう。さまざまな思想、主義のプロパガンダにおいても、非常に重要な役割を果たしている。

 ハックティビストによる最も一般的なインターネットの利用方法は、敵対する相手へのDoS攻撃だ。しかし、迷惑メール、スパムメールの送信も報告されてきた。

 少し古いが、2004年にはドイツとオランダで、ドイツの右翼のプロパガンダメールが大量に送付された。このときは、送信主はSober.Gウイルスを用いていた。Sober.Gは、感染したPCからe-mailアドレスの不正獲得も行い、大量に迷惑メールを送付するものだった。

 ウイルス研究者は、スパマーとウイルスのプログラマーとが、PCをハイジャックし、そこで見つけたアドレスを用いてメール送付に用いていると考えていた。また、右翼が多数の市民へその主義主張を伝えるために、迷惑メールの送信を用いた初めてのケースであったと言われている。

 この迷惑メールは選挙に伴い、「ドイツが必要としているのは、ドイツ人の子どもたちだ(What Germany needs are German children)」というから、外国人の子どもたち、移民は必要とはしていないという、人種差別的意味合いのあるものだった。他にも"医療ツーリスト"としてドイツを訪れる外国人により、ドイツ国民が支払う医療保険の費用が高くなっているといった警告メッセージも送られた。

 スパムメールだとして無視した受信者も多いだろうが、大量に送付されたら、もちろん読んで、右翼の意見に賛同したネットユーザもいる可能性はある。電話や郵便、テレビやラジオをはじめとするメディアを用いて、自分たちの考えを伝えようとすると、かなりのコストがかかる。一方、インターネットを用いると低費用で済むのも魅力だ。何より、一瞬にして多数のターゲットにメッ
セージを届けることができ、極めて効率的だ。

 選挙活動など、政治に関するe-mailは、有権者からそっぽをむかれたら、無意味だし逆効果だ。そのため、"迷惑"と取られないように、候補者も気をつけているだろう。しかし、候補者が直接使用しなくても、支持者などが送付することもある。内容についても、支持するものでなく、相手を誹謗するような
メールが大量に出回ったケースも報告されている。

 今回の選挙では、まだ大きく報じられてはいないが、2004年の米大統領選挙の際には、ブッシュ大統領や民主党候補のケリー上院議員を攻撃する内容の迷惑メールが、大量に送られたことがメディアで話題になった。当時、状況を報じた『USA TODAY』の記事では、これらのメールは効果を挙げていたという。これはMailFontierによる調査に基づくもので、回答者のうち2割が、政治的スパムメールは、投票に影響を与えると答えている。

 大統領選挙以外にも、様々な問題についての迷惑メールが送付されている。イラクアメリカ問題や、2003年のカリフォルニア州知事選挙でのリコールの際が、例に挙げられるだろう。

 ハックティビストの活動内容はさまざまだ。1989年、米エネルギー省などのVMSに接続していたネットワークが、WANKワームに感染した。広く知られていたセキュリティホールを用いていたもので、セキュリティを最新の状況に保っていると無事だった。WANKは反核運動の一環として攻撃を行っていた。

感染すると
・ユーザが知らないうちに、アカウントのパスワードが書き換えられる
・反核メッセージが表示される
・e-mailの受信ができなくなる
・ファイルが消去される
などの被害を受けた。

 今年5月にはチリのハッカーが政府のデータ保護が不十分であることの抗議だとして、600万件の市民の個人情報を公開している。データは政府および軍のサーバから不正に獲得したもので、IDカードの番号、住所、電話番号、学歴などだった。

 発表されたのは、テクノロジー関係のブログサイトにおいてで、サイト管理者によって情報は直ちに削除されている。また別のサイトに情報を含むファイルへのデータが発表されたが、こちらも同様に削除された。

 北京オリンピックでもメインプレスセンターで、人権問題やチベット問題でチベットを応援するウェブサイト、そしてニュースサイトまでがブロックされるという事件があった。センターでジャーナリストなどが、これらのサイトにアクセスしたくても不可能だった。事件は中国政府による"検閲"だったと見られている。ネット検閲は中国以外でも、イランなどのアラブ諸国で…

【執筆:バンクーバー新報 西川桂子】
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