SCAN DISPATCH は、アメリカのセキュリティ業界及ハッカーコミュニティから届いたニュースを、狭く絞り込み、深く掘り下げて掲載します。── マルウエアに感染した正規Webサイトにユーザーが訪れるだけで、ブラウザが自動的にボットネットマルウエアをダウンロードし、そのマルウエアがユーザーの eBay や PayPal のアカウント情報をブルートフォース(パスワードの総当たり攻撃)するという攻撃ベクターが、イスラエルのアラジン・ノーレッジ・システムズ社によって発見された。Aladdin Knowledge Systemshttp://www.aladdin.com/ 筆者のインタビューに対し、同社「eSafe」のプロダクトマネージャーのオファー・エルザム氏(Ofer Elzam)は「当社製品 eSafe SecureSurfing for ISPs という、ISP側で顧客の HTTP などのトラフィックをリアルタイムでモニターするセキュリティ製品のログで見つかった」この攻撃は、「たぶん中国製」の「非常に複雑な、多層レイヤーのボットネット/マルウエア攻撃ベクター」だそうだ。 この攻撃はまず、ユーザーが SQLインジェクションの脆弱性を悪用して、iframe攻撃マルウエアに感染されたウエブページを訪れることで始まる。2007年6月の Information Security Bulletin の調査によれば、iframe攻撃は感染されたウエブページの約65%に見つかっているほど、悪用度が高いものである。正規ウエブページは国を限定しておらず、PCWorldのレポートによればイタリアのマイクロソフト・セキュリティ・フォーラムもその一つだそうだ。 iframeマルウエアはユーザーに見えないフレームを立ち上げて、「自動的に、ユーザーのインプットを必要とせずに」ボットネット・ソフトウエアをダウンロードする。それも、「攻撃を複雑化して(検知を困難にするために)複数の場所から複数のコンポーネントを」ダウンロードするそうだ。 ユーザーのPCにダウンロードされたマルウエアは、ブルートフォースのパスワードクラッカーとボットネットクライアントを兼用しており、ユーザーが eBay の拡張アプリを使用している「店主」である場合、eBay側のデータベースと直接交信してユーザーネームとパスワードを探り出す。 その昔、eBay の買い手をだますために、偽ストアを立ち上げるという例が多かったが、現在犯罪者たちが行っているのは、こうした正規店主の情報を盗み出すものだ。 買い手による「とてもよい」といった多くの評価と、長い歴史を持っている出品者のログイン情報を盗み、ID詐欺を行う。一度盗まれたログイン情報は、ブラックマーケットで売買される。 オーストラリアのオンライン犯罪の専門家であるピーター・ガットマンは…【執筆:米国 笠原利香】※ この記事は Scan購読会員向け記事をダイジェスト掲載しました購読会員登録案内http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec