NTTデータ先端技術株式会社は10月19日、緊急レポート「KRACKs(key reinstallation attacks:鍵再インストール攻撃)について」を発表した。この攻撃は、ベルギーの研究者であるMathy Vanhoef氏が、無線LAN(Wi-Fi)の認証プロトコルに複数の脆弱性があることを10月16日に公開したもの。Vanhoef氏は、2017年12月にイギリスで開催されるBlack Hat Europe 2017で、これら一連の脆弱性および攻撃手法の詳細を明らかにするとしている。同レポートは、同日時点で公開されている情報をもとに、想定される脅威と対策についてIL-CSIRTの見解をまとめている。一連の脆弱性は、Wi-Fiの認証プロトコルであるWPA/WPA2の「4-way handshake」などの仕様に起因するもの。「KRACKs(Key Reinstallation AttaCKs)」は、これらの脆弱性をつく攻撃手法の名称で、Vanhoef氏が名付けている。KRACKsの攻撃手法によって、WPA/WPA2プロトコルの暗号化を解読してWi-Fiの通信内容を復号・盗聴することが可能となる。攻撃の対象となる機器は、WPA/WPA2をサポートするすべてのWi-Fi機器で、クライアント側だけでなくAP側も影響を受ける可能性がある。攻撃により盗み見られる情報は、クライアントとAPの間で電波を使い通信する間の平文情報。また、脆弱性悪用の条件として、攻撃者が電波の届く範囲にいることが前提となる。レポートでは対策方法として、OS/機器ベンダ提供のパッチ適用/バージョンアップを行うこと、VPNやSSLなど通信の暗号化を行うこと、電波の届く範囲を最小限とすることを挙げている。