トレンドマイクロ株式会社は12月21日、2011年度の日本国内におけるインターネット脅威レポート(1月1日から12月15日までのデータによる速報版)を発表、2011年度の脅威動向についてもまとめた。2011年は、特定の企業や組織を狙う標的型の攻撃とみられる事例が数多く報道された。攻撃者は標的のシステム面のぜい弱性や、人的な面でも入念な事前調査を行い、興味を喚起する話題を用いる。また攻撃目的が達成されるまで何度も攻撃を行うなどの特徴がある。一方、不正プログラムの作成・保管を処罰する法改正、いわゆる「サイバー刑法」が6月に成立、7月に施行され、すでに容疑者が検挙されている。また、フィッシング詐欺に関しても捜査機関や金融機関から法改正の要望が提出され、サイバー犯罪の取り締まりが強化されることによるインターネット上の攻撃・犯罪の抑止が期待されるとしている。今後はSNSで公開されている個人情報や交友関係を利用した攻撃や、スマートフォンを標的に金銭を狙う詐欺サイトなどがさら増加すると見ており、端末のセキュリティに加え端末で利用するクラウドのサービスやデータを保全する必要性が高まるとしている。日本国内の不正プログラム検出状況では、2008年に確認された「WORM_DOWNAD.AD」が検出数ランキングの1位となり、2位はクラッキングツール「CRCK_KEYGEN」、3位はワーム「WORM_ANTINNY.AI」となった。日本国内の不正プログラム感染報告ランキングでは、USBメモリなどリムーバブルメディア経由で感染する「MAL_OTORUN」や、正規のWebサイトの改ざんに用いられる「MAL_HIFRM」、偽セキュリティソフト「TROJ_FAKEAV」が報告数を集めており、被害が継続している。2011年の脅威動向では、持続的標的型攻撃、公開サーバーへの不正アクセス、スマートフォン向けの不正Webサイト、いわゆるサイバー刑法の成立の4つをトピックとして挙げた。