「おそれいります、株式会社ブロードシステムの影山と申します。以前お使いいただいた弊社の電話料金のプランの件で、新しいプランができましたのでご案内したく連絡させていただいております。ご契約者様はいらっしゃいますでしょうか?」
大賞受賞での講評から、今年も開催されるサイバーセキュリティ小説コンテストの対策を考えてみました。
「どうすれば落ちる」が分かっても「どうすれば受かる」が分からない。プロットに行き詰まったとき、天啓を与えてくれたのは伝説のバウンティハンターの存在でした――。
コンテストによって審査基準は異なるものの、落ちた作品、受賞した作品がどういったものか、両方の面からお伝えできるのではないかと思います。
表紙と目次だけ見て答えた社長に、オレは、犯行可能人物のページを見るように促した。
「うーん、ざっくばらんで話のわかる人ですけど、慎重っていうか変なところにケチっていうか、よくわからないけど、いい人です」
「私もそう思います。差し出がましいことを申し上げるようで恐縮ですが、吉沢は容疑者からはずしてよいのではないでしょうか?」
資料に書いていないことはまだありそうだ。オレは自分で情報を集めることにした。
売上のごまかしは長期間にわたっているようだから、隠した売上は億を超えるだろう。それがどこにあるのかは気になる。
オレと目を合わせず、落ち着きなく周囲を見回し、貧乏揺すりを始める。絵に描いたような不審者って感じだ。
第三者を巻き込んで実行するには、百万円は安すぎる。百万円を手に入れるなら顧客データを盗んで売るなり、もっと手っ取り早い方法もありそうだ。
この手の犯罪は手かがりが少ない。動機がわかると、有力な手がかりになる。しかし、動機は動機で物的証拠ではないから注意が必要だ。
通信密室とは外部との通信を完全に遮断している部屋のことだ。電波を通りにくくし、ジャミング電波を流している。通信は有線LANのみという徹底ぶりだ。
変なところでオレは奥ゆかしい。自分の手柄をえらそうに話せない。
ランサムウェアと呼ばれるマルウェアを使ったサイバー犯罪。オレは何度も扱ったことがある。
冴木と静家。大学では同期だったものの対照的なキャリアを送る、ふたりの技術者の葛藤と成長の物語。
「時代は変わった。これからはサイバーミステリとアメリカの時代だ」
そのアジトには併設の喫茶店がある。Trojan Room coffee pot。木製のテーブルに白い壁がまぶしい空間。三十一歳の善光寺良成が、切り盛りする店である。
『初恋の人の行方を知りたい方は、こちらにメールください。依頼はご内密にいたします。速やかに探します。費用は、前金で百円。現在の様子が分かったら追加で五千円。写真付きならプラス五千円。経費はご依頼主様負担でお願いします。無理だったら返金します。 荒川正歩』
末期の重病を苦に自殺した少女のTwitterアカウントが死後復活した。フォロアーもフォローも1名だけのアカウントのツイート数は毎日増え続ける・・・
実験中の、目的地を言うだけでそこへ運ぶ自動走行車が突然暴走した。バグの可能性は低い。大学生の「僕」はプログラムを書いた先輩と真相究明にあたる。
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