工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン 7 「アリバイの通信密室」 第11回「五十四歳」 | ScanNetSecurity
2019.10.19(土)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン 7 「アリバイの通信密室」 第11回「五十四歳」

表紙と目次だけ見て答えた社長に、オレは、犯行可能人物のページを見るように促した。

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翌日の午後に届いた身上調査の結果に目立つものはなかった。特に山岡は実直を絵に描いたような人間だった。二回転職しているが、この業界では珍しいことじゃない。この会社に来てからすでに十年以上になる。立派な古参社員だ。年齢は五十四歳で見かけのよさと相まって安心感がある。そろそろ老後のことを考える時期だ。バカなことはしないだろう。

さしておもしろいものではないが、調査結果を社長への手土産として持参することにした。こういう種類の情報を入手できるということを知っておいてもらうのも悪くない。

五時ちょっと前にサムズワンズの受付で来意を告げると、すぐに社長が出てきて、そのまま外に連れ出された。

「社内でない方がいいでしょう」

脱税しているとはいえ、ちゃんと物事の道理を理解していそうだ。脱税社長というイメージにはそぐわない細身で頭の切れそうな中年男だ。

オレたちは近くのファミリーレストランに移動して話をすることにした。

《一田 和樹》

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