サイレントクーデター 超限政変 第20回「トンデモ陰謀論」 | ScanNetSecurity
2024.04.25(木)

サイレントクーデター 超限政変 第20回「トンデモ陰謀論」

「お前ら、本気でそんなこと考えてるのか? いいか? それってトンデモ陰謀論だぞ。デタラメにもほどがある。そんなことあるはずないだろう。仮にあったとしても、誰も信じない。そんなことで炎上するわけないだろ」

特集 フィクション

前回

「LINE社は海外展開する際に現地に合わせる原則なんですよね。中国では検閲当たり前なんで、中身を見られるようにしています。そもそも韓国政府はLINEの内容を把握できるというレポートもあるし、暗号化は独自方式で安全性に疑問があると言われてるし、セキュリティ面では問題ありという人は少なくないです」

「あのさ。よくわからないんだけど、なんでそんな国際的な諜報活動の話をしているわけ?」

「工藤さんの不正アクセス活動はここから漏れたのではないかと思います」

 もしかしたらと思っていたが、やっぱりそうだった。最悪の展開だ。

「なぜオレがそんな国際謀略のターゲットにならなきゃいけないんだ?」

「“B級ハッカー狩り”が世界的に展開されている作戦だからです。たまたま工藤さんはそこに引っかかった。ひとりだけ狙い撃ちしたわけではありません。大がかりな作戦のたくさんあるターゲットのひとつ。おわかりですか?」

「わかんねえ。全く実感がわかない。なぜ、そんな作戦が展開されてるんだ?」

「複数の国で展開していることを考えると政府関係機関かサイバー軍需企業のどちらかの可能性が高いと考えます。つまりどこかの政府機関かサイバー犯罪組織が人海戦術で攻撃するために募集してるいるのではないでしょうか? アメリカ当局のどこかの部署やサイバー軍需企業が実施している作戦なら、さきほどご説明した方法で工藤さんの活動を全て把握できます」

 ぽっちゃり系のメガネ女子から出るセリフじゃない。キャスティング間違ってるだろ。

「だから、なぜオレなんだ? 莫大な情報の中からわざわざオレの記録を探すのも大変だろう」

「逆です。アメリカ当局が関与しているならば、莫大なログの中から怪しい活動を含むものだけを抽出し、さらに複数回にわたって疑わしい行動をとっている相手を絞り込んだのでしょう。工藤さんはそこで選ばれたのですから、当然過去の不要アクセスの記録も把握されているわけです。おわかりですか?」

「オレはたくさんいる雑魚の一匹ってわけだ」


《一田 和樹》

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