発端はしょぼい事件だった。
恵比寿と広尾の中間に位置する古びたマンションの一室。オレの事務所兼自宅だ。なぜかここにふたりの革命家がいる。しかもうら若き女性だ。片方はニューヨークだかなんかのブランドものの黒いパンツスーツだが、どことなく不穏な雰囲気だ。きつめのメイクで目の周りが真っ黒だ。向かいあって腰掛けている女は対照的にファンタジックなゴスロリでウェーブのかかった茶髪だ。そしてどちらも極上の美人で自称サイバー革命家。そして宅配ピザを待っている。わけがわからない。
「ねえ、柏崎っていつまで持つと思いますか?」
ゴスロリの方がにこにこしながら総理大臣のことを話題にしている。甚だしくそぐわない。
「あの内閣はいつ倒れてもおかしくないよね。派閥内もまとまってないし、川本も力をつけてる」
「いっそ殺しちゃいましょうか?」