「当然、相手も同じことを考えていて、こちらのアカウントに対して標的型攻撃を仕掛けてきています。しかしこの場合は先手が有利というわけではありません。ツイートだけからは相手のサーバーを特定できませんが、標的型攻撃からは相手のサーバーを特定できます。このあとは我が革命軍の精鋭が夏神とともにサーバーを攻撃しつつ、アカウントを乗っ取ります」
冬野は冷静だが、そんなうまく行くのか? と思ったが、ちゃらちゃらしているようでこいつらの行動力と技術力はすごい。ほんとうにできるかもしれない。
「ほら、見ろ。すでにこっちはここまで解析済みだ。アジトのリサーチ班が核となるアカウントやトロールアカウントをリストアップし、サーバーを特定した。脆弱性も見つけたらしい」
夏神が楽しそうにスマホをオレに向かって突き出した。画面は小さいし、なにが書いてあるのかわからない。
「ああ、そう」
オレの素っ気ない返事に夏神はため息をつく。
「工藤さんは、今まで通りやっててくれればいいから」
そのへんのハッキング大会になるとオレの出番はほとんどない。せこせこSNS世論操作を続けるだけだ。
その時、スマホが鳴った。見ると廃島だった。オレは無言で「廃島」と表示されている画面を夏神と冬野に見せる。