オレが事務所兼自宅の扉を開けると部屋の中に夏神がいるのが見えた。リビングでノートパソコンを操作している。
「お帰りなさい。意外と時間かかったね」
笑顔がこいつには似合わない。悪巧みしてそうにしか見えない。邪悪な笑みが好みなら一目惚れしそうだが。
「お前、どうやって入った?」
半分戸惑い半分怒りでオレは夏神に詰め寄る。
「机の上に出しっぱなしになってた鍵の写真を撮って、3Dプリンタで印刷した。開かないかもなと思ったけど、あっさり開いたね」
夏神はそう言うと、自分のスマホを見せびらかした。スマホのカメラで鍵の写真を撮って合鍵を3Dプリンタで作るなんてことができるのか?
「ウソだろ?」