お許しが出たのでオレは契約書の封筒に手を伸ばした。雇用契約ではなく、業務委託契約になっていたのは予想外だった。こちらの契約主体もハイテックサポートだ。
「ハイテックサポート社から報酬が支払われます。実際の仕事では私以外の者が担当になりますので、その指示に従って業務をこなしていただくことになります。開始前に英語のテストを受けていただき、その結果によっては英語を学んでいただくこともあります」
英語と聞いて国際的な陰謀の可能性が頭をかすめる。
「なんだそれ?」
「海外とのやりとりもありますし、資料が英文のものが以外と多いんです」
「海外? 担当がアメリカ人ってこともあるのか?」
「たまにそういうこともありますが、その場合でも向こうが日本語を使ってくれます」
「よくわからないんだけど、もしかして日本以外でも仕事をすることがあるのか?」
「工藤さんが仕事をする場所は原則として日本国内です。ただし、仕事先は海外ということもありえます。ネットを使ってアクセスすれば国内も国外も関係ありません」
アクセスに関してはその通りだが、適用される法律や制度は違ってくるはずだ。ルパン三世じゃあるまいし、インターポールに国際指名手配されたくないし、FBIやCIAも願い下げだ。
「いや、でもアメリカで違法なことしたらヤバイだろ」