サイレントクーデター 超限政変 第8回「報酬二千万円」 | ScanNetSecurity
2024.03.04(月)

サイレントクーデター 超限政変 第8回「報酬二千万円」

金額をきいて喜びそうになった自分が悲しい。オレの反応に気づいた廃島はかすかに笑みを浮かべる。見透かされた。さっきの作り笑いに比べると、自然で嫌味だ。こいつは性格が悪い。

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 この街に残った数少ない昔ながらの喫茶店だ。白髪のマスターひとりしかいない。客も昔からの常連が多く、還暦過ぎたじいさんとばあさんばかり。オレは何度か来たことがある。ゆったりした造りの静かないい店だが、オレの部屋に近すぎて逆に行きづらい。ランチでもやってれば別だが、ここは頑なに食事の類いは出していない。

 店に入る前に廃島以外のスーツの連中は離れていった。店の近くに待機して、なにかあったら飛び込んでくるつもりかもしれないので安心はできない。

「ぶしつけな真似をして大変失礼しました。お詫びいたします」

 店に入ってすぐに廃島は頭を下げた。もっと高圧的な態度を予想していたオレは拍子抜けした。

「そんなことはどうでもいい。オレになんの用があるんだ?」

「工藤さんを一年間専属で雇用したいと考えています。報酬は二千万円でいかがでしょう?」


《一田 和樹》

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