前回
「工藤さん」
翌日、昨日と同じ会社に打合せに出かけ、自宅兼事務所へ帰る途中で突然知らないヤツに呼び止められた。灰色の中折れ帽にダークスーツ、銀縁のメガネをかけた痩せぎすな中背の男だ。夕陽を背にした長い影が不気味だ。一瞬、昔仕事をした相手かと思ってまじまじと見たが、全く記憶にない。病的に白い顔がちょっと怖い。
「何度かメールを差し上げた廃島です。お電話でも一度お話しました」
謎の脅迫者だ。まさか目の前に現れるとは思っていなかった。マジもんのストーカーだ。思わず周囲を見回す。誰もいない。廃島の仲間もいないが、オレが助けを求められる通行人もいない。
「工藤さん」
翌日、昨日と同じ会社に打合せに出かけ、自宅兼事務所へ帰る途中で突然知らないヤツに呼び止められた。灰色の中折れ帽にダークスーツ、銀縁のメガネをかけた痩せぎすな中背の男だ。夕陽を背にした長い影が不気味だ。一瞬、昔仕事をした相手かと思ってまじまじと見たが、全く記憶にない。病的に白い顔がちょっと怖い。
「何度かメールを差し上げた廃島です。お電話でも一度お話しました」
謎の脅迫者だ。まさか目の前に現れるとは思っていなかった。マジもんのストーカーだ。思わず周囲を見回す。誰もいない。廃島の仲間もいないが、オレが助けを求められる通行人もいない。