株式会社富士通研究所は8月28日、データを暗号化したまま統計計算や生体認証などを可能にする準同型暗号の高速化技術を、世界で初めて開発したと発表した。従来の準同型暗号は、ビット単位で暗号化を行うため処理時間が長く、実用化する上での課題となっていた。同社は今回、データのビット列の並び方を工夫して一括暗号化することで、統計計算などをする際に必要となるビット列の内積計算を暗号化したまま一括して行う技術を開発した。これにより、従来に比べ処理性能を最大で約2,000倍高速化することに成功したという。本技術により、クラウド上のデータのプライバシーを保護しつつ利活用することが可能になる。たとえば、生体認証に適用することで、究極の個人情報である指紋や静脈データといった生体情報を、暗号化したまま安全に照合することが可能となる。また、医療や生化学データといった機密情報のデータ分析など、これまでプライバシーが壁となっていた複数の企業にまたがった情報活用が、クラウドサービスと今回開発した暗号技術との融合により促進されるとしている。同社では本技術について、2015年の実用化を目指して実証実験などを進めていく。