工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン4 「超可能犯罪」 第20回「実行犯は複数?」 | ScanNetSecurity
2024.04.26(金)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン4 「超可能犯罪」 第20回「実行犯は複数?」

「やらなくていいんじゃないですか」革命的なひとことを発した。
警察、検察、推理小説という存在を根底から覆す提案だ。

特集 フィクション
>>第 1 回から読む

「そりゃあ、でもそうなると、打つ手がなくなるなあ。実行犯が複数だと動機もそれぞれ別々かもしれない。となると、動機から犯人をつきとめるのも無理。他には手がかりもない。一番いやなのは、仮に実行犯を十人捕まえても、まだ他に実行犯がいる可能性が残るってことだよな。たったひとりの実行犯を捕まえて終わりってわけにいかない。エンドレスだ」

「やらなくていいんじゃないですか」

またまた沢近が、革命的なひとことを発した。実行犯を特定しないでいい…警察、検察、推理小説という存在を根底から覆す提案だ。今夜の沢近のセリフは、さえすぎだ。単にオレがぼけてただけかもしれないが。

「だって工藤さんの目的は、真相を明らかにして、再発を防止することでしょう? だったら実行犯なんかわからなくてもいいんですよ。「誰でもできる」状況を作って待っていた人を見つけて、その方法を明らかにすればいいんじゃないですかね」

沢近の言う通りだ。実行犯は偶然に犯行を行ったに違いない。彼らが行わなければ他の誰かが行っただろう。人気の動画がすぐに動画サイトにアップされるのと同じ理屈だ。アップされていなければ、誰かがきっとアップする。計画的ではなく、自然発生的にそうなっているのだ。

ブラック企業の個人情報となれば関心を持つ者も少なくない。誰でも盗める、誰でもアップできる、放流できる状況なら、きっと誰かがやるだろう。そう考えて全体のシナリオを用意し、誰でも簡単に犯罪を行えるような環境を整えていたに違いない。

「なるほどね。でもオレの客は実行犯がわからないと納得してくれないよな、きっと」

《一田和樹》

関連記事

Scan PREMIUM 会員限定記事

もっと見る

Scan PREMIUM 会員限定記事特集をもっと見る

カテゴリ別新着記事

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×