あるはずない、と思わず言いそうになったが、可能性を否定はできないことにすぐ気がついた。オレは、しばらく絶句した。
大島自身は物理的に離れた子会社にいたためアリバイが成立している。社内サーバーが再稼働する前に帰宅するという念の入ったアリバイだ。完璧すぎて、逆に怪しさ満載なのだが、このアリバイは崩せないような気がする。
ふたりの内緒の相談が終わると、大島は大量のデータと書類を持ってきた。オレはそれを抱えR式サイバーシステムを出て、自宅兼事務所に戻って状況を整理してみた。
「ちょっといいですか?」沢田は、もみ手で作り笑いを浮かべた。オレに訊かせたくない相談があるというジェスチャーのつもりだ。
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