>>第 1 回から読む
沢田は不安そうな表情を浮かべていたものの「工藤さんのことですから、大丈夫ですよね」とへらへら笑って言った。普段はオレのことを「工藤ちゃん」とバブリーな呼び方をする、あいつが「さん」づけで呼ぶなんていやな感じだ。
オレは沢田に目配せした。慣れたもので、すぐに気がついてくれた。
「あ、すいません。トイレお借りしてもよろしいですか?」
沢田はそう言いながら立ち上がった。
「トイレは、エレベータの手前です」
「あのー、エレベータってどっちでしたっけ? すみません。方向音痴なもので」
「はあ、部屋を出て右です」
大島は素っ気なく答えた。沢田は、はいはい、と軽い調子で答えて部屋のドアのところまで行ったが、そこで立ち止まると、大島を手招きした。
「なんでしょう?」
「ちょっといいですか?」
沢田は不安そうな表情を浮かべていたものの「工藤さんのことですから、大丈夫ですよね」とへらへら笑って言った。普段はオレのことを「工藤ちゃん」とバブリーな呼び方をする、あいつが「さん」づけで呼ぶなんていやな感じだ。
オレは沢田に目配せした。慣れたもので、すぐに気がついてくれた。
「あ、すいません。トイレお借りしてもよろしいですか?」
沢田はそう言いながら立ち上がった。
「トイレは、エレベータの手前です」
「あのー、エレベータってどっちでしたっけ? すみません。方向音痴なもので」
「はあ、部屋を出て右です」
大島は素っ気なく答えた。沢田は、はいはい、と軽い調子で答えて部屋のドアのところまで行ったが、そこで立ち止まると、大島を手招きした。
「なんでしょう?」
「ちょっといいですか?」