工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン4 「超可能犯罪」 第7回「内緒の相談」 | ScanNetSecurity
2024.03.29(金)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン4 「超可能犯罪」 第7回「内緒の相談」

「ちょっといいですか?」沢田は、もみ手で作り笑いを浮かべた。オレに訊かせたくない相談があるというジェスチャーのつもりだ。

特集 フィクション
>>第 1 回から読む

沢田は不安そうな表情を浮かべていたものの「工藤さんのことですから、大丈夫ですよね」とへらへら笑って言った。普段はオレのことを「工藤ちゃん」とバブリーな呼び方をする、あいつが「さん」づけで呼ぶなんていやな感じだ。

オレは沢田に目配せした。慣れたもので、すぐに気がついてくれた。

「あ、すいません。トイレお借りしてもよろしいですか?」

沢田はそう言いながら立ち上がった。

「トイレは、エレベータの手前です」

「あのー、エレベータってどっちでしたっけ? すみません。方向音痴なもので」

「はあ、部屋を出て右です」

大島は素っ気なく答えた。沢田は、はいはい、と軽い調子で答えて部屋のドアのところまで行ったが、そこで立ち止まると、大島を手招きした。

「なんでしょう?」

「ちょっといいですか?」
《一田和樹》

関連記事

Scan PREMIUM 会員限定記事

もっと見る

Scan PREMIUM 会員限定記事特集をもっと見る

カテゴリ別新着記事

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×