OSINT を安易に考えるな ~ 日本ハッカー協会 杉浦氏講演 | ScanNetSecurity
2024.04.25(木)

OSINT を安易に考えるな ~ 日本ハッカー協会 杉浦氏講演

情報収集や脅威インテリジェンスで注目を集めているのが OSINT と呼ばれる公開情報ベースのインテリジェンス手法だ。基本的には合法であり誰でもできる。

研修・セミナー・カンファレンス
日本ハッカー協会 代表理事 杉浦隆幸氏、自身も OSINT エキスパート
  • 日本ハッカー協会 代表理事 杉浦隆幸氏、自身も OSINT エキスパート
  • 脅威や攻撃を可視化するツールは多い
  • 脅威インテリジェンスの基本フロー
  • DNSからは多くの情報が手に入る
  • 脅威インテリジェンスで調査する主な情報

 昨日 3 月 7 日から、サイバーセキュリティカンファレンス Security Days Spring 2023 東京が、東京駅至近の KITTE を会場としてはじまった。開期は金曜日 3 月 10 日まで。

 Security Days の人気講演のひとつが、一般社団法人日本ハッカー協会の代表理事 杉浦 隆幸 氏の講演だ。キーノート(基調講演)枠で登壇し、OSINT を主軸としたサイバー攻撃者の情報収集活動を、臨場感たっぷりのスライドとともに解説する講演は、あのケビン・ミトニックを彷彿とさせる緊迫感があり、毎回満員御礼を記録した。

ハッカーの OSINT 活用法
メールアドレスでここまで情報が入手可能
ビジネス OSINT とは何か?
「ハッカーが活躍できる社会を作る」2 年間の成果とこれからの展望

 しかし今春開催の Security Days には残念ながら杉浦氏のセッションが含まれていない。ありえない。責任者出せ。そんな「杉浦ロス」の本誌読者向けに、過去の取材資料と素材をもとに、2022 年 2 月開催の Security Days の杉浦氏の基調講演のレポートを蔵出しでお届けすることにした。

--

●安全保障と脅威インテリジェンスの落とし穴

 いまに始まったことではないが、エスカレートするサイバー攻防において、防御側も守りを固めるだけでなく、積極的な情報収集、脅威インテリジェンスが欠かせないとされる。

 防御側の情報収集や脅威インテリジェンスで注目を集めているのが OSINT と呼ばれる公開情報ベースのインテリジェンス手法だ。基本的には合法であり誰でもできる。だが、その一方で、OSINT やサイバーセキュリティとは直接関係のない「敵基地無力化」や「先制攻撃」といった、いかにも素人の政治家が喜びそうなフレーズで脅威インテリジェンスやサイバーセキュリティを括ろうとする動きもみられる。

 セキュリティと安全保障は強く関係する事象だが、安易な議論は危険だ。「深淵をのぞき込む時、深淵もまたこちらを除いている」とは、かのニーチェの名言だが、いまやネットミームとして認知・浸透している。ネットワークにおけるアクセスは、相手に接続することを意味し、それは相手も認知しているということに他ならない。このフレーズはまさに OSINT や脅威インテリジェンス、ひいては脆弱性診断にまで関わる重要な示唆になっている。

 こう語るのは、日本ハッカー協会 代表理事 杉浦隆幸氏だ。本稿は、2022 年 2 月に開催された Security Days Tokyo 2022 Spring の基調講演で杉浦氏が語った内容を元に、OSINT や脆弱性診断への注意点をまとめたものだ。


《中尾 真二( Shinji Nakao )》

編集部おすすめの記事

特集

研修・セミナー・カンファレンス アクセスランキング

  1. スペシャリスト集結! マネーフォワード・ラック・富士ソフト・電通総研から学ぶ、脆弱性診断内製化の成功法則とは? AeyeScan 導入企業との公開対談

    スペシャリスト集結! マネーフォワード・ラック・富士ソフト・電通総研から学ぶ、脆弱性診断内製化の成功法則とは? AeyeScan 導入企業との公開対談

  2. 札幌でワークショップ「CSIRTのはじめ方 ー そして続けられるように」5/16 開催

    札幌でワークショップ「CSIRTのはじめ方 ー そして続けられるように」5/16 開催

  3. 警察庁、総務省それぞれの最新の取り組みは? 官民連携、国際連携を通してより安全なサイバー空間の実現を ~ JPAAWG 6th General Meeting レポート

    警察庁、総務省それぞれの最新の取り組みは? 官民連携、国際連携を通してより安全なサイバー空間の実現を ~ JPAAWG 6th General Meeting レポート

  4. 難問「海外拠点のセキュリティレベル底上げ」NTTデータグループの挑戦 記録

  5. 到来する「脆弱性対策義務化時代」に脆弱性管理サービス「SIDfm」が果たす役割

  6. 公安調査庁「SECURITY SHOW 2024」出展、3/12 にはセミナーも

  7. NVIDIA の AI はサイバーセキュリティの夢を見るか

  8. 世界で最初にXDRを提唱した男のビジョンとは? パロアルトネットワークス講演

  9. 汚染された Tor ブラウザ、狙われるダークウェブ利用者

  10. パナソニック他 大手が続々「Cloudbase」を採用、日本人が日本企業のために作るクラウドセキュリティプラットフォーム

アクセスランキングをもっと見る

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×