>>第 1 回から読む
会議室に入ると川崎が待っていた。椅子に腰掛けながら、オレは宣言した。
「オレは確信した。データは本体DBから盗まれた。そして犯人は、ここにいる。内部犯行だ」
川崎の顔色がすっと青くなった。商売がら青い顔のヤツはたくさん見ているが、川崎の青くなる速度はなかなかのものだった。ベスト5に入る。もしかしたら、トップをとれるかもしれない。
「なにを言うんです。本体DBから漏洩していないという証拠があるじゃないですか」
「うん、まあそうだよな。でも違うんだ。これはフェイクだ」
「なんですって?」
川崎のうろたえる顔を見て、オレは少しいい気分になった。クライアントを困らせて喜ぶのは、よくないことだとわかっていたが仕方がない。人間なんだ。好き嫌いはある。嫌いなタイプで、その上N電気出身者ときたら、うんこカレーみたいなもんだ。どうやっても好きになれるわけがない。うんこカレーがどんなものか食べたことはないけどさ。
「川崎さん、あんた大事なことをオレに言わなかったろ。もっともあんたはそれが大事だなんて気づかなかったんだろうけどさ」
「…なんのことです?」
会議室に入ると川崎が待っていた。椅子に腰掛けながら、オレは宣言した。
「オレは確信した。データは本体DBから盗まれた。そして犯人は、ここにいる。内部犯行だ」
川崎の顔色がすっと青くなった。商売がら青い顔のヤツはたくさん見ているが、川崎の青くなる速度はなかなかのものだった。ベスト5に入る。もしかしたら、トップをとれるかもしれない。
「なにを言うんです。本体DBから漏洩していないという証拠があるじゃないですか」
「うん、まあそうだよな。でも違うんだ。これはフェイクだ」
「なんですって?」
川崎のうろたえる顔を見て、オレは少しいい気分になった。クライアントを困らせて喜ぶのは、よくないことだとわかっていたが仕方がない。人間なんだ。好き嫌いはある。嫌いなタイプで、その上N電気出身者ときたら、うんこカレーみたいなもんだ。どうやっても好きになれるわけがない。うんこカレーがどんなものか食べたことはないけどさ。
「川崎さん、あんた大事なことをオレに言わなかったろ。もっともあんたはそれが大事だなんて気づかなかったんだろうけどさ」
「…なんのことです?」