如月が満面の笑みで付け加えた。これがもうひとつの重要な要素だった。こんなことは長く続けられない。でもたった五年でよいのだ。
佐藤の表情が険しくなる。全く予想していなかった結論なのだろう。だが、これが論理的な結論だ。それにしても佐藤がここまで感情的な反応を見せるとは思わなかった。
「今回の事件は『超可能犯罪』です。君島さんがこの事件を私たちに託したのは、典型的なサイバー犯罪のテンプレートにあてはまるからでした」
「そのふたつに絞って、もう一回データを確認する? あれ? ちょっと待って大事なことを忘れていたんじゃない?」
如月は手を引っ込めると、ぺらぺらと念仏のようにつぶやきだした。それは違うんじゃない? と突っ込みたいが、いつものことなのでスルーする。ああやって話すことで頭を整理しているのだ。本人も話している内容が正しいとは思っていない。