箱崎はわくわくしてきた。こうやってふたりで話しながら可能性を確認してゆくのは楽しい。見ていた世界ががらっと姿を変えることも多い。今回もそうなりそうな気がしてきた。
今、佐藤は自分がしてきたことを受け手の立場で解析している。Fatebook 社がアジア各国に提供してきた無償インターネットサービスがなにをもたらしたか、SNS がなにをもたらしたか。
あいつらどこまでやるつもりなんだ。本当にできるのか? 佐藤は半信半疑になったが、それでも数カ国分のデータをまとめて送る。ふと気がつくと荒垣がにやにやしている。
「さきほどの二つ目の答えをうかがっていません。なぜ、ご立派な結果が出ているのに、ここにいらしたんでしょう?」