ビザ・ワールドワイドは11月18日、世界18市場の6,000人の成人を対象とした調査レポート「Fraudulese: The Language of Fraud(まやかしの言葉:詐欺の文言)」を公開した。レポートによると、テクノロジーに非常に詳しい消費者でも詐欺に気づかず、サイバー犯罪者に隙をつかれていることが判明している。
半数近くが「自分は詐欺に引っかからない自信がある」と回答している一方で、73%はデジタル通信において押さえるべき要注意ポイントを見逃す傾向にあることがわかった。騙しの手口はインターネットのあらゆるところに存在しており、昨年だけでも消費者に被害がおよぶ前にVisaが未然に防いだ不正取引は1億2200万件、総額72億ドルに達している。
同社は今年、騙し文句を消費者に知ってもらう取り組みの一環として、犯罪者がショートメッセージで使う文言に関する初の言語解析を、英国の研究者に委託して実施した。この研究の結果、不正なテキストメッセージのうち、トラブルやオファーへの反応を促すものが87%と最も多く、問題が発生したとして受信者に行動を促すものがこれに続いた。
レポートでは、詐欺の文言に対する消費者の認識と実際の行動にはギャップがあり、犯罪者につけ込まれている可能性が示唆されている。消費者は自分自身は十分警戒できていると自負している一方で、大多数(90%)は友人や家族がメールやテキストメッセージで、詐欺の被害に遭うのではないかと心配していることがわかった。
メールなどの信憑性の確認には、簡単に偽造できる「企業名やロゴ」(46%)など、不適切な項目を選んだ回答者が5人中4人以上(81%)に上り、「送信元のメールアドレスが有効かどうかを確認する」と答えた人は60%にとどまった。「文章の綴りが正しいかどうかを確認する」と答えたのは半数以下(47%)となっている。なお、暗号資産の利用者は非利用者と比較して、詐欺かどうかを確認するポイントとして適切なものを選択した割合が高かった。
また調査結果から、詐欺文言の8類型として「オンラインギフト券当選」「特別な取引」「いますぐに!」「ここをクリック」「期間限定」「緊急」「対応が必要です」「無料/プレゼント」が明らかになっている。消費者を焦らせて誤った判断へ誘導する犯罪者の意図がわかる。
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研究を実施した英アストン法言語学研究所のマートン・ペティコ氏は、「詐欺業者がコンタクトしてくる際の手口や言葉、言い回しを紹介することで、現在使われている騙し文句により容易に気づいてもらい、消費者の保護につなげたい」としている。