HP Sure Click Enterprise は WindowsOS のみに対応し、対象ファイルが Office 製品や PDF 他に限定されるなど、すべての領域をカバーするものではないが、その限定的である点にこそ HP の思想が感じられる。
「たとえ限定的であれ、ここだけは完全に守る領域を作る(渕上氏)」
この考えに賛同した組織は少なくない。「世界一標的型攻撃を喰らう組織」こと、米国防総省もそのひとつで、55 万台の端末に HP Sure Click Enterprise(旧Bromium)を導入した。具体的名前を記事には書けないが公共機関の採用もある。
2021 年 6 月、日本HP はセキュリティソリューションブランド「HP Wolf Security」を発表、セキュリティへの取り組みのマーケティング面にも本腰を入れた。
「HP は PCメーカ」「HP はプリンタメーカ」とあなどるあなたこそ、渕上氏の講演を聞く意味がある。なぜなら、55 年の先端技術の研究開発実績と環境・人員を保有し、盤石な財務基盤を持つ HP は将来、セキュリティベンダとしての存在感を徐々に増していく可能性が極めて高いからだ。数年後を先取りして HP のセキュリティの考え方をいま知っておいて損はない。