森島氏:EYでは、本当に何から何までグローバルとの連携がフルメッシュで濃いですね。その基盤となっているのは、組織構造のグローバルでの統一化です。アドバイザリーを含む4つのサービスラインに始まり、リスク、サイバーセキュリティといった構造ですね。その上に、例えば先ほどお話したトレーニングや人材育成プログラムなどが構築されているイメージです。カウンセラーとカウンセリーの関係、面談の頻度や中身、人事考課の在り方など、様々な仕組みがグローバルで統一化されたシステムによって動いています。また、組織構造が統一化されているということは、サービスもコンテンツも容易に横展開できるということです。例えば、複数のサービスドメインの連携によって提供するサービスなども、どの国でも同じ組織構造なわけですから、同じように提供できるのです。さらに、これはサービスのパッケージ化が容易であるということを意味しています。主なサービスは、方法論やプラン、工数、想定される成果物のひな型まで含めてパッケージ化し、グローバルで一本化されたシステムに集約、運用されています。これにより世界各地で均質なサービスの提供を可能にしています。このグローバルでの一体感は感動的で、日本語化が間に合わないくらい共有されるコンテンツが多く、新しいコンテンツが毎朝配信されてきます。世界中のEYが一体になって活動していますから、毎日どこかで新しいサービスができているわけです。アドバイザリーだけでなくEYの4つのサービスラインすべてだったら、もっと膨大な数になるでしょう。しかもEYに所属しているプロフェッショナルは、誰でもそれらの情報にアクセスできます。他のグローバルファームでは、他のエリアで作ったコンテンツを利用するには複雑な承認が必要だったり、対価を要求されたりすることもありますが、EYはグローバルで一体であり、無償で共有することは当然という考え方なのです。グローバルに面で展開されているクライアントを、例えば日本のファームが点で支えることは難しい。しかし、EYはこのようなグローバルでの一体的な運用によって、面を面で支えることができる。これは我々の大きな強みでもありますし、クライアントがEYを選択いただく大きなメリットでもあります。岡田氏:EYの一体感は、人材の面にも表れています。グローバルとの連携が強いですし、人材交流も盛んですから、例えば日本のEYでも日本人と外国人が自然な形でミックスされている。また、EYに所属しているプロフェッショナルの情報はグローバルで単一のデータベースに登録されています。個別のプロフェッショナルのページにアクセスすると、専門領域や過去の担当プロジェクトなどの情報が詳細に書き込まれていて驚きます。たとえば、新たなビジネスのために特殊な分野の知識や経験のある人を探したいと思えば、そういったキーワードでグローバル全体の人材を対象に検索できますし、その人が今オンラインかどうかもわかるので、オンラインであればチャットメッセージを送るなど、すぐにコンタクトできます。EYグローバルの従業員24万7千人すべてにリーチできる可能性があるわけです。森島氏:先ほど少しお話した、アドバンスト・セキュリティ・センターも一体運用の象徴のひとつですね。ネットワークに国境はありませんから、リモートから提供できるサービスをすべての国に持つ必要はなく、逆にそういうプロフェッショナルを集約して、そこから世界中にサービスを提供すればいい。このような考えに基づき、サイバーセキュリティに関する一部のサービスについては、世界で12箇所に設置されたセンターにプロフェッショナルとナレッジを集約しています。EYは国やエリアで考えずに地球規模でものを考えているわけです。●今後のEY、セキュリティ事業の展望――今後、EYのサイバーセキュリティサービスやお二人のチームをどのようにしていきたいですか。