工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン5 「ワンタイムアタッカー」 第24回「ワンタイムアタッカー」 | ScanNetSecurity
2024.04.20(土)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン5 「ワンタイムアタッカー」 第24回「ワンタイムアタッカー」

「では、基本チャージ二百万円に、成功報酬三百万円でいかがでしょう? 二百万円は情報を買った費用の原価みたいなものです」 真田が揉み手しながら言うと、吹田は苦笑した。実際には、五十万円もかかっていない。

特集 フィクション
>>第 1 回から読む

「まず犯人を捕まえないとな。元社員、山内さんの秘密を知っている、海外金融機関にくわしい、英語に堪能…口座開設なんかで英語でやりとりするからな、この条件にあてはまるヤツが犯人。ニセの真田だ。相棒のニセ工藤は、ニセ真田が連れてきたヤツだろう。これだけ条件あれば、すぐにわかるんじゃないか?」

オレが言うと、片山は山内を見た。吹田は山内の首をまたつかんだ。

「言え! 心当たりを吐くんだ」

「そんな……わかりませんよ。でも社長室のメンバーか、定例会議のメンバーなら、その条件に当てはまると思います。英語と海外金融にくわしいというとだいぶ絞られますが……そういえば少し前に辞めた社員にそんなのがいたような気が……」

山内は、苦しげに答えた。吹田が、はっと息を呑む。

「わかった! あいつだ。ブログ事業の責任者で実績でなくて辞めたあいつ。大野だ。おい! すぐに人事に住所を調べさせろ。警察に通報するんだ! あ…いや…それはまずい。お前たちで言って捕まえてこい。総務の吉川と小林にも手伝わせろ。警察上がりの契約社員もいたろ。そいつも連れてけ」

吹田が、山内と片山に怒鳴った。ふたりは、あわてて部屋を飛び出した。

「捕まえられるといいですね」

真田が、にこにこした顔で言った。吹田は、不機嫌そうな顔で、真田をにらむ。

《一田和樹》

関連記事

Scan PREMIUM 会員限定記事

もっと見る

Scan PREMIUM 会員限定記事特集をもっと見る

カテゴリ別新着記事

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×