>>第 1 回から読む
「犯人はなにかのきっかけで、山内の秘密を知った。利口だったのは、山内を脅さなかったことだ。代わりに吹田さんの隠し口座から金を盗む計画に組み込んだ。山内に、怪しい送金のことを尋ねれば、自分がやったとは言わないだろ。改竄事件の犯人に罪をなすりつけるに違いない」
「待ってください。でも、私が工藤さんか真田さんに電話すれば、ニセモノだったってわかりますよね?」
片山が尋ねた。
「別にニセモノだってわかっても、誰だかわからなきゃ問題ない。それに、そもそもオレと真田が、まともにあんたの話を聞かない可能性だってある。普通なら、仕事は断ったはずだと言って電話を切ってたと思う。ニセモノも、仕事を引き受けたわけじゃないと念押ししてたんだろ? それはオレたちがそう言って断るかもしれないと思っていたからだ」
「待て! まだおかしいことがある。山内がその日、送金するなんてなぜわかるんだ? 送金の日でないとこの罠は成り立たないだろ」吹田が大きな声を出した。
「山内は定期的に金をくすねていた。比較的見つからない日と時間帯を選んで操作していたんだろう。月に一度のチャンス。定例会議がある日なら、全員席をはずす。送金をすませて、少し遅れていけばいい。万が一見られても、報告のために作業していると言い訳しやすい。そして犯人は、送金のタイミングをねらった。山内がトークンを取り出し、送金をしたのを確認してからニセモノは社長室に行った。絶妙なタイミングだ」
「どうやって、山内が送金を終えて席を立つタイミングがわかるんだ? 社内にいて山内を見ていないとわからないだろ。それとも社長室に協力者がいるのか?」吹田がなおも質問する。
「犯人はなにかのきっかけで、山内の秘密を知った。利口だったのは、山内を脅さなかったことだ。代わりに吹田さんの隠し口座から金を盗む計画に組み込んだ。山内に、怪しい送金のことを尋ねれば、自分がやったとは言わないだろ。改竄事件の犯人に罪をなすりつけるに違いない」
「待ってください。でも、私が工藤さんか真田さんに電話すれば、ニセモノだったってわかりますよね?」
片山が尋ねた。
「別にニセモノだってわかっても、誰だかわからなきゃ問題ない。それに、そもそもオレと真田が、まともにあんたの話を聞かない可能性だってある。普通なら、仕事は断ったはずだと言って電話を切ってたと思う。ニセモノも、仕事を引き受けたわけじゃないと念押ししてたんだろ? それはオレたちがそう言って断るかもしれないと思っていたからだ」
「待て! まだおかしいことがある。山内がその日、送金するなんてなぜわかるんだ? 送金の日でないとこの罠は成り立たないだろ」吹田が大きな声を出した。
「山内は定期的に金をくすねていた。比較的見つからない日と時間帯を選んで操作していたんだろう。月に一度のチャンス。定例会議がある日なら、全員席をはずす。送金をすませて、少し遅れていけばいい。万が一見られても、報告のために作業していると言い訳しやすい。そして犯人は、送金のタイミングをねらった。山内がトークンを取り出し、送金をしたのを確認してからニセモノは社長室に行った。絶妙なタイミングだ」
「どうやって、山内が送金を終えて席を立つタイミングがわかるんだ? 社内にいて山内を見ていないとわからないだろ。それとも社長室に協力者がいるのか?」吹田がなおも質問する。