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第七章 真相
真田と一緒にタクシーに乗り、サイバーフジシンに着くまでの三十分間、オレは、電話で片山からくわしい説明を聞いた。頭の中で、パズルのパーツがどんどんそろってくる。全部聞き終わった時には、完成していた。パズルは別に複雑じゃない。パズルのパーツがそろうまでが工夫されてたんだ。
オレはサイバーフジシンに着くまでの間、頭をフル回転させ、同時にネットでさまざまなサイトにアクセスして情報を集めた。
「工藤さん、お願いしますよ。工藤伸治の名前がかかってるんですよ」
オレが考え事をしているというのに、真田が横から口出しして邪魔した。
「うるせえなあ」
「お願いしますよ。今日は名探偵ぶりを発揮していただきますからね」
「オレは探偵じゃないんだけどな」
「もう立派な探偵ですよ」
真田は無邪気に笑い、それを見たオレはげんなりした。
サイバーフジシンに着くと、片山が飛んできた。顔色の悪いヤツだが、オレたちを見てさらに悪くなった。オレたちを会議室に案内する間、片山はずっと無言だった。
無理もない、とオレは思った。どこからなにを訊けばいいのか、よくわからないのだろう。頭の中がパニックで整理がついていないに違いない。
会議室には、どことなく貧相なでかい顔の男と、きつい目をしたやせぎすの男が待っていた。どちらも中年だ。片山が、貧相な方を社長の吹田、もうひとりを財務の山内と紹介した。ふたりともオレと真田の顔を穴のあくほど見つめている。中年男ふたりに見つめられるというのは、気持ちのいいものじゃないとオレは思い知った。ふたりとも人相が下品すぎる。オレが言える筋合いじゃないが。
「みなさん、サイバーセキュリティコンサルタント、そして今ではサイバー探偵として有名な工藤伸治さんです」
第七章 真相
真田と一緒にタクシーに乗り、サイバーフジシンに着くまでの三十分間、オレは、電話で片山からくわしい説明を聞いた。頭の中で、パズルのパーツがどんどんそろってくる。全部聞き終わった時には、完成していた。パズルは別に複雑じゃない。パズルのパーツがそろうまでが工夫されてたんだ。
オレはサイバーフジシンに着くまでの間、頭をフル回転させ、同時にネットでさまざまなサイトにアクセスして情報を集めた。
「工藤さん、お願いしますよ。工藤伸治の名前がかかってるんですよ」
オレが考え事をしているというのに、真田が横から口出しして邪魔した。
「うるせえなあ」
「お願いしますよ。今日は名探偵ぶりを発揮していただきますからね」
「オレは探偵じゃないんだけどな」
「もう立派な探偵ですよ」
真田は無邪気に笑い、それを見たオレはげんなりした。
サイバーフジシンに着くと、片山が飛んできた。顔色の悪いヤツだが、オレたちを見てさらに悪くなった。オレたちを会議室に案内する間、片山はずっと無言だった。
無理もない、とオレは思った。どこからなにを訊けばいいのか、よくわからないのだろう。頭の中がパニックで整理がついていないに違いない。
会議室には、どことなく貧相なでかい顔の男と、きつい目をしたやせぎすの男が待っていた。どちらも中年だ。片山が、貧相な方を社長の吹田、もうひとりを財務の山内と紹介した。ふたりともオレと真田の顔を穴のあくほど見つめている。中年男ふたりに見つめられるというのは、気持ちのいいものじゃないとオレは思い知った。ふたりとも人相が下品すぎる。オレが言える筋合いじゃないが。
「みなさん、サイバーセキュリティコンサルタント、そして今ではサイバー探偵として有名な工藤伸治さんです」