>>第 1 回から読む
工藤の指示通りに、社長、山内、工藤、そして自分の四名で銀行にアクセスすることにした。社長に電話すると、社内にいるから十分後には会議室に行けると言うことだった。続いて、山内に電話して、緊急事態だと言って会議室に呼び出す。
片山が会議室に入ると、すでに山内が待っていた。
「トークン届きましたよ」
片山が言うと、山内はあからさまに不審な顔になった。
「片山さん、どういうことです? なぜ、あなたが持っているんです。私のとこに来たものでしょう?」
「社長と工藤さんの立ち会いの下でアクセスしてみましょう」
片山は、それには答えず言った。
「なにを言ってるんです? 社長が立ち会う?」
「工藤さんの指示です。あの場合、口座を凍結すべきでした。しかしあなたはそれをしなかった。それが怪しいという指摘です。だから新しいトークンでアクセスする時に、証拠隠滅されないように立ち会おうということです」
「バカなことを……口座を凍結する必要なんかないんだ。大きな取引には、必ず電話確認が来る。多額の資金を持って行かれる可能性はない。あの時、工藤さんも言っていただろ。逆にいったん凍結したら、再開するのはひどく大変なんだ。わかって言ってるのか? そもそも取引履歴を隠蔽したり、抹消したりなんかできない」
山内は、真っ赤な顔で怒鳴った。
工藤の指示通りに、社長、山内、工藤、そして自分の四名で銀行にアクセスすることにした。社長に電話すると、社内にいるから十分後には会議室に行けると言うことだった。続いて、山内に電話して、緊急事態だと言って会議室に呼び出す。
片山が会議室に入ると、すでに山内が待っていた。
「トークン届きましたよ」
片山が言うと、山内はあからさまに不審な顔になった。
「片山さん、どういうことです? なぜ、あなたが持っているんです。私のとこに来たものでしょう?」
「社長と工藤さんの立ち会いの下でアクセスしてみましょう」
片山は、それには答えず言った。
「なにを言ってるんです? 社長が立ち会う?」
「工藤さんの指示です。あの場合、口座を凍結すべきでした。しかしあなたはそれをしなかった。それが怪しいという指摘です。だから新しいトークンでアクセスする時に、証拠隠滅されないように立ち会おうということです」
「バカなことを……口座を凍結する必要なんかないんだ。大きな取引には、必ず電話確認が来る。多額の資金を持って行かれる可能性はない。あの時、工藤さんも言っていただろ。逆にいったん凍結したら、再開するのはひどく大変なんだ。わかって言ってるのか? そもそも取引履歴を隠蔽したり、抹消したりなんかできない」
山内は、真っ赤な顔で怒鳴った。