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2018.11.17(土)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン5 「ワンタイムアタッカー」 第20回「90万ドル」

山内の剣幕に片山は不安そうな表情になった。社長の前で工藤や自分が一方的に罵られたら、社長にどんな目に遭わされるか考えただけでも恐ろしい。 「私を犯人に仕立て上げる自信があるなら、社長呼んでもいいんじゃない。私なら、しないけどね」 山内が皮肉混じりに言った。

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工藤の指示通りに、社長、山内、工藤、そして自分の四名で銀行にアクセスすることにした。社長に電話すると、社内にいるから十分後には会議室に行けると言うことだった。続いて、山内に電話して、緊急事態だと言って会議室に呼び出す。

片山が会議室に入ると、すでに山内が待っていた。

「トークン届きましたよ」

片山が言うと、山内はあからさまに不審な顔になった。

「片山さん、どういうことです? なぜ、あなたが持っているんです。私のとこに来たものでしょう?」

「社長と工藤さんの立ち会いの下でアクセスしてみましょう」

片山は、それには答えず言った。

「なにを言ってるんです? 社長が立ち会う?」

「工藤さんの指示です。あの場合、口座を凍結すべきでした。しかしあなたはそれをしなかった。それが怪しいという指摘です。だから新しいトークンでアクセスする時に、証拠隠滅されないように立ち会おうということです」

「バカなことを……口座を凍結する必要なんかないんだ。大きな取引には、必ず電話確認が来る。多額の資金を持って行かれる可能性はない。あの時、工藤さんも言っていただろ。逆にいったん凍結したら、再開するのはひどく大変なんだ。わかって言ってるのか? そもそも取引履歴を隠蔽したり、抹消したりなんかできない」

山内は、真っ赤な顔で怒鳴った。

《一田和樹》

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