工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン5 「ワンタイムアタッカー」 第17回「5万ドルの意味」 | ScanNetSecurity
2025.02.28(金)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン5 「ワンタイムアタッカー」 第17回「5万ドルの意味」

真田は、全く悪びれる様子を見せずに言った。この男は、ほんとに空気を読まない天才だと工藤は思った。

特集
>>第 1 回から読む

「……そうです。工藤さんは、その金額の意味がわかっているんですね」

「ああ、この手の金持ち向けの銀行は、ていねいなサービスと安全が売りだ。不審な取引や多額の取引の時には、必ずいったん保留にして電話かなにかで確認してくる。電話確認されたら、その時点でアウトだ。五万ドルってのは、電話で確認されない金額なんだろう」

「そうです。電話がかかってくるのは私宛なので、私ならもっと多額の取引もできるんです。その点からも意味がありません。いいことに気づいてくれました。おおよそですが、チェックなしで送金可能できるのは、百万ドルまでです」

山内が言うと、工藤は、うなずいた。

「いずれにしても、口座にアクセスできるようになれば、送金先がわかって犯人もおのずとあきらかになるわけですね」

片山が言うと、山内は首を振った。

「偽名あるいはナンバー口座という可能性もあります」

「ナンバー口座?」

《一田和樹》

関連記事

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 永世名誉編集長 りく)

×