「詳細を表示させろ。SWIFT コードと口座番号か、IBAN コードがわかれば相手を特定できる」
「今は表示できません。同行内の資金移動は終わるまで表示できないんです」
「ウソだろ。資金移動完了したら終わりじゃないか。オレにやらせろ」
工藤がマウスに手を伸ばすと、山内はあわててそれを避けた。もみ合いになる。
「ちょっと、止めてください」
片山が止めに入った。今度は、三人のもみ合いになる。他の席にいた経理と人事の人間が何事かと集まってくる。その時、パソコンの画面が暗転した。誰かがパワーボタンを押したのだ。
「バカ!」工藤が叫んだ。