工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン5 「ワンタイムアタッカー」 第13回「外部送金」 | ScanNetSecurity
2024.04.19(金)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン5 「ワンタイムアタッカー」 第13回「外部送金」

「その最後の取引はなんだ? 外部送金になってるぞ。五万ドルか…」工藤が画面を指さした。山内の顔色が変わる。「ついさっき送金してる。あんたがやったのか?」

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山内は、自分の席に腰掛けると、ブラウザを立ち上げ、銀行のサイトへアクセスした。そして、懐からトークンを取り出すと、ボタンを押し、そこに表示されている番号を入力した。

「ルクセンブルクの銀行に、ワンタイムパスワードか…」

工藤がつぶやいた。

画面には複数の口座とファンド、クレジットカードの状況とグラフが表示された。片山は不思議そうな顔をする。日本のオンラインバンキングでは見ることのない画面だ。保有資産の状況が一画面で把握できるようになっている。

「すごいな。この銀行は他の国の金融機関のファンドまで手配して、統合表示してくれるのか」

「主要金融市場で流通しているファンドなら、たいていのものは、ここから買えますし、ほぼリアルタイムで状況を反映してくれます」

山内がちらりと横に立っている工藤の顔を見上げた。

「チェッキングアカウントの履歴を表示してくれ」

《一田和樹》

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