>>第 1 回から読む
「私は、ここで待っていますね」
真田が、にこにこ笑いながら、携帯を指さして手を振った。どうやら、どこかに電話しなければならないらしい。
工藤は、無言でうなずくと会議室を出た。システム室から営業部と順に見て回る。社内はオープンスペースで特に部門ごとに間仕切りがあるわけではなかった。
「社長室を見せてくれ」
しばらく社内を見たところで、工藤が思いついたように言った。
「はい」ぐるりと見渡せる。
片山は、答えると方向転換した。
「ただ言っておくけど、株価操作の場合、社内犯罪の可能性はないと思ってる。理由は簡単だ。こんな大げさなことをしなくても新サービスの発表や決算発表の前にその内容を使って取引すればいいだけの話だろ。わざわざこんなことしないで、普通にインサイダー取引をすればいい。ただ、オレは社内犯罪のような気がしているんだ。目的が株価というのと矛盾してしまうが」
工藤が歩きながら、片山に話した。
「なるほど」
「社内犯罪だとした場合、株価操作以外の目的がある。怨恨あるいは他の何か……社内、特に社長に近い連中のいるところ、金がたんまり動く場所の連中がどんな様子か見ておこうと思ってさ」
「それで社長室ですか……こちらです」
片山は正面のガラス張りの部屋を指さした。そこだけ独立した部屋になっている。
「へえ、あんな部屋なんだ。それにしても、がらがらじゃないか…」
「私は、ここで待っていますね」
真田が、にこにこ笑いながら、携帯を指さして手を振った。どうやら、どこかに電話しなければならないらしい。
工藤は、無言でうなずくと会議室を出た。システム室から営業部と順に見て回る。社内はオープンスペースで特に部門ごとに間仕切りがあるわけではなかった。
「社長室を見せてくれ」
しばらく社内を見たところで、工藤が思いついたように言った。
「はい」ぐるりと見渡せる。
片山は、答えると方向転換した。
「ただ言っておくけど、株価操作の場合、社内犯罪の可能性はないと思ってる。理由は簡単だ。こんな大げさなことをしなくても新サービスの発表や決算発表の前にその内容を使って取引すればいいだけの話だろ。わざわざこんなことしないで、普通にインサイダー取引をすればいい。ただ、オレは社内犯罪のような気がしているんだ。目的が株価というのと矛盾してしまうが」
工藤が歩きながら、片山に話した。
「なるほど」
「社内犯罪だとした場合、株価操作以外の目的がある。怨恨あるいは他の何か……社内、特に社長に近い連中のいるところ、金がたんまり動く場所の連中がどんな様子か見ておこうと思ってさ」
「それで社長室ですか……こちらです」
片山は正面のガラス張りの部屋を指さした。そこだけ独立した部屋になっている。
「へえ、あんな部屋なんだ。それにしても、がらがらじゃないか…」