>>第 1 回から読む
翌日、オレが社内を見て回りたいと言うと大島は少し驚いた顔をした。
「理由をおたずねしてもいいですか?」
「いや、現場を見るのは基本だろ」
「必要な情報はお渡ししていると思いますが、他になにかあるとおっしゃるんですか?」
「ないかもしれない。あるかもしれない。それは見てみないとわからない」
「はあ」
「ダメなの?」
「いえ、見て回るだけでしたら、特に問題ありません。一時間くらいでよろしいですか? その、部外者をひとりで歩き回らせるわけにはいかないので…」
大島は、いやというより面倒くさそうだった。責任者にあるまじき態度だが、犯人を特定できても特定できなくても大島の処分は変わらないようだから身が入らないのも当たり前だ。
「ああ、あんたが付き添ってくれるわけだ。うん、大丈夫。一時間でいいよ。まずはシステム部と人事部、総務部、それから適当に営業関係とかも見ておきたい」
「わかりました」
大島は納得していないようだったが、これがオレのやり方だからしょうがない。
これといって特別なオフィスではなかった。平机とその上に置いたノートPCがずらっと並んでいる。光景だけ見ると、最先端のIT企業とは思えない。システム部くらいは、低いパーティションで個人ごとに区切ってやってもいいんじゃないかと思った。
「全部ノートPCなの?」
翌日、オレが社内を見て回りたいと言うと大島は少し驚いた顔をした。
「理由をおたずねしてもいいですか?」
「いや、現場を見るのは基本だろ」
「必要な情報はお渡ししていると思いますが、他になにかあるとおっしゃるんですか?」
「ないかもしれない。あるかもしれない。それは見てみないとわからない」
「はあ」
「ダメなの?」
「いえ、見て回るだけでしたら、特に問題ありません。一時間くらいでよろしいですか? その、部外者をひとりで歩き回らせるわけにはいかないので…」
大島は、いやというより面倒くさそうだった。責任者にあるまじき態度だが、犯人を特定できても特定できなくても大島の処分は変わらないようだから身が入らないのも当たり前だ。
「ああ、あんたが付き添ってくれるわけだ。うん、大丈夫。一時間でいいよ。まずはシステム部と人事部、総務部、それから適当に営業関係とかも見ておきたい」
「わかりました」
大島は納得していないようだったが、これがオレのやり方だからしょうがない。
これといって特別なオフィスではなかった。平机とその上に置いたノートPCがずらっと並んでいる。光景だけ見ると、最先端のIT企業とは思えない。システム部くらいは、低いパーティションで個人ごとに区切ってやってもいいんじゃないかと思った。
「全部ノートPCなの?」