工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン3 「エリカとマギー」 第7回「川崎」 | ScanNetSecurity[国内最大級のサイバーセキュリティ専門ポータルサイト]
2018.09.26(水)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン3 「エリカとマギー」 第7回「川崎」

そんなわけで、オレは一発で機嫌を直してエリカに行くことになった。エリカはここ数週間、国際展開するコンシューマ向けネットワークゲームプラットホームから、立て続けに個人情報を流出させてマスコミに叩かれまくっている。

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そんなわけで、オレは一発で機嫌を直してエリカに行くことになった。エリカはここ数週間、国際展開するコンシューマ向けネットワークゲームプラットホームから、立て続けに個人情報を流出させてマスコミに叩かれまくっている。

「マギー」と名乗る犯人は大胆にも犯行声明を出し、Twitterでエリカの企業姿勢を口を極めて罵った。大量のフォロワーが、それを応援している。おかげでエリカは、ネットではサンドバッグ状態だ。そして3週間後、犯人は忽然と姿を消した。

犯人の正体は不明。個人情報を盗むことを「マギる」などと呼んでいい気になっていやがる奴だ。どうやら女らしいんだが、もちろんそれ以上のことは明かさないし、誰も知らない。もしかしたら警察やエリカはある程度具体的なことをつかんでいるのかもしれないが、どうもそういうわけでもないみたいだ。

オレに相談が来たということで、そのカンは当たっていたことがわかった。うまくいっていれば、オレのとこには相談に来ないからだ。

オレと沢田は、エリカの巨大なビルの中の、こぎれいな会議室に通された。システム部長だという川崎という男が、イタリア製っぽい瀟洒な机をはさんだ向かいに腰掛けた。午後の暑苦しい日差しが、ブランドごしに室内に入ってくる。オレは、机の上を走る光の筋を、なんとなくながめた。

「クラッキングされてはいません。そんなはずはないんです」

《一田和樹》

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