>>第 1 回から読む時間が零時を回っていたこともあって、すぐには反応がなかった。まず数件のアクセスがあり、それからリツイートされた。数分後には、リツイートの嵐だ。あっという間に、Twitterのタイムラインが私のツイートのリツイートで覆われた。そしてものすごい勢いでふぉぼったーさんから、あんたトップだよ!というツイートが飛んでくる。ふぉぼったーさんは、ツイートのふぁぼとRTを数えて1時間ごとにランキングをツイートしているのだ。昨晩から私はランキングを独占している。あっという間にフォロワーは数千人を超え、夜が明ける頃には1万人に達していた。笑いがこみ上げてきた。そしてひとしきり笑うと怖くなった。もしかしたら、つかまるんじゃないかという気がした。まあ、こんなことやって、怖がるのも変だけど、やっぱり怖い。そのうち、ネットニュースに私のことが載ったというツイートが流れ出した。でも見るのは怖い。でも状況を知らなきゃ話にならない。おそるおそるネットニュースのサイトを開いた。マウスを持つ手がじっとりと汗ばんで、ぬるぬるした。気がつくと口が開けっぱなしだ。道理で喉が渇くと思った。口で、はあはあ息して、お前は犬か。「キタ」ヤフーのニュースに載っていた。私がやったんだ。身体の半分がぴょーんと跳ね上がった。私は天才だ。もう半分はまっさかさまにウツに落ちた。どうしよう。犯罪者だよ、これ。捕まったら人生終わりかも。でも、捕まらないよな。LulzSecだって捕まってない。なんでこの私が捕まるんだ。どうやったってわかるはずがない。私はWizard級ハッカー様だぞ。ふと気がつくとメールが大量に来ている。Twitterのフォロワーが増えるごとにメールが届くようにしていたのだ。数を見て驚いた。1万件だって。笑っちゃう。どんどん増えてる。ヤバイ、メールBOXがいっぱいになっちゃう。パンクはしないだろうけど、こんなのいちいち見てらんねえ。あわてて設定を変えて、フォロワーが増えてもメールで通知が来ないようにした。フォロワーの数は、朝10時に2万人を超えた。自分がえらくなったような気分。不安な気持ちは千尋の谷に突き落として、軽々と次のステップに移るべし。警察は、きっとアクセス元を調べようとするだろうけど、私の知識ではTwitterからアクセス元をたどるのは困難だ。Twitter運営会社は犯罪集団を追い出すこともない。どちらも、LulzSec騒動の時に明らかになった。私は満足して、ネットを離脱した。次の仕事は1週間後だ。>> つづき