一田和樹 「檻の中の少女」(ブックレビュー) | ScanNetSecurity
2024.04.20(土)

一田和樹 「檻の中の少女」(ブックレビュー)

「檻の中の少女」 一田 和樹 著 2011年4月22日 原書房刊

調査・レポート・白書・ガイドライン ブックレビュー
orinonaka「檻の中の少女」一田 和樹 著 2011年4月22日 原書房刊

軽快なテンポで、一気に読めました。

情報システム屋にとっては、作中のいくつかの事例が、ネット犯罪の背景や深さをストーリ性をもって感じることができる良い教材になると思います。

セキュリティ屋にとっては、「あっ実名」とか、「あっこれは○×さんがモデルだ」と、ニヤニヤしながら読める、良い意味での内輪受け部分を面白く感じるでしょう。

一方、登場人物が色々情報を漏らしすぎるので、「こいつ怪しい」「こいつ真犯人」と特定した人物が、「あーやっぱりそうだった」となる点は、良い意味で「読者も参加できる」、悪い意味では「すぐにネタバレ」で、推理小説としての評価はやや辛口になりますね。

エピローグは映画のシノプシス調で、「これが本編だったのか」「なるほど、タイトルはここか」「主題はここなんだ」と読ませる感じが斬新でした。ただし、これは賛否両論でしょうか。

情報システム系の業務経験があり、現在は編集の仕事に就いている妻にも読んでもらったところ、

「情シス系の人には面白いかもしれないね。ただし、中途半端に知識があると、フィクションなのか、ノンフィクションなのか判別できない部分があって、かえって読みにくかった。ストーリー的には、結末がモヤッとしていて、読後スッキリしないのが残念」

という感想でした。

bookreview_fusen

ちなみに、気になった用語と、箇条書きの部分にそれぞれ色違いのフセンが貼られ、校閲後のような状態になって妻から戻ってきました(写真)。

(株式会社日立情報システムズ 本川 祐治)


本川 祐治(もとかわ ゆうじ)
株式会社日立情報システムズ ネットワークインテグレーション本部 主管技師長
1985年入社。メインフレームの運用管理やインターネット関連システムの構築、SOC運用を経て、情報セキュリティ関連調査研究の取りまとめを行う一方、情報セキュリティ緊急即応部隊「SHIELD110」リーダー

Blackhat Japan コーディネータ
IAJapan セキュリティ研究部会副部会長
ISACA教育委員会

セキュリティ・インシデント緊急対応サービス「SHIELD110」
http://www.hitachijoho.com/solution/shield/consulting/110.html



「檻の中の少女」一田和樹著/原書房刊
http://www.amazon.co.jp/gp/product/456204697X
《ScanNetSecurity》

Scan PREMIUM 会員限定記事

もっと見る

Scan PREMIUM 会員限定記事特集をもっと見る

カテゴリ別新着記事

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×