工藤伸治のセキュリティ事件簿 第11回「年齢制限」 | ScanNetSecurity
2024.03.29(金)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 第11回「年齢制限」

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そろそろ作業が終わろうとする頃、なにやら気配を感じてオレは振り返った。
和田が立っていた。目があった。

「私の番はまだですか?」

和田は黒のセルフレームの眼鏡ごしにオレをじっと見ている。こいつ、なにを言ってるんだ?

「なに?」

オレは訊き返した。

「さっき、遠山さんとお話ししてたでしょ? だから、次は私の番かなあ?」

わからねえ、なに言ってんだ、こいつ。

「すみませーん」

遠山がやってきた。和田が不思議そうな目で遠山を見る。

「この子、ちょっと不思議ちゃんなんですよ。ごめんなさい。普通にしてる時は、普通なんですけどね。なんか、勘違いするとおかしなことを言い出すんです」

不思議ちゃんってそろそろ年齢制限いっぱいじゃねえの? とオレは言いそうになったが、止めておいた。和田は、遠山とオレの顔を交互に見ると、突然、ひとりでうなずきだした。

《一田 和樹》

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