glibc の iconv 関数において文字列変換時の検証不備によりメモリ破壊が引き起こされる脆弱性(Scan Tech Report) | ScanNetSecurity
2025.02.28(金)

glibc の iconv 関数において文字列変換時の検証不備によりメモリ破壊が引き起こされる脆弱性(Scan Tech Report)

2024 年 4 月に公開された、glibc の脆弱性を悪用する攻撃検証コードが公開されています。

脆弱性と脅威
https://www.gnu.org/software/libc/
◆概要
 2024 年 4 月に公開された、glibc の脆弱性を悪用する攻撃検証コードが公開されています。攻撃者に脆弱性を悪用されると、DoS 攻撃や遠隔コード実行につながる恐れがあります。 ソフトウェアのアップデートにより対策しましょう。

◆分析者コメント
 本記事で取り上げている PHP に対して当該脆弱性を悪用するコードは、脆弱性を最大限に活用できる状況を想定した PHP のデモ用アプリケーションに対するものであるため、実際の状況では遠隔コード実行まで上手くできる状況は限られています。とはいえ、DoS 攻撃につながる可能性は高いため、ソフトウェアのアップデートにより対策することを推奨します。

◆深刻度(CVSS)
[CVSS v3.1]
7.3

https://nvd.nist.gov/vuln-metrics/cvss/v3-calculator?name=CVE-2024-2961&vector=AV:L/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:L/I:L/A:H&version=3.1&source=CISA-ADP

◆影響を受けるソフトウェア
 glibc のバージョン 2.39 およびそれよりも古いバージョンが当該脆弱性の影響を受けます。

◆解説
 glibc に、メモリ破壊を引き起こす脆弱性が報告されています。

 脆弱性が存在する関数は、文字列エンコードの変換処理を担う iconv 関数に存在します。脆弱性が存在する iconv 関数では、UCS4 エンコードされた文字列を変換処理する際のメモリ検証に不備があり、想定されている範囲外のメモリの操作を引き起こします。

◆対策
 glibc のバージョンを 2.39 よりも新しいバージョンにアップグレードしてください。OS ベンダが配布しているパッケージを利用している場合はバージョンの採番方法が異なるため、利用している OS ベンダの当該脆弱性情報を確認してアップデートしてください。

◆関連情報
[1] Openwall
  https://www.openwall.com/lists/oss-security/2024/04/17/9
[2] Debian 公式
  https://lists.debian.org/debian-lts-announce/2024/05/msg00001.html
[3] National Vulnerability Database (NVD)
  https://nvd.nist.gov/vuln/detail/cve-2024-2961
[4] CVE Mitre
  https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2024-2961

◆エクスプロイト
以下の Web サイトにて、当該脆弱性を悪用して対象ホストに対して任意のコ
マンド実行の指示を試みるエクスプロイトコードが公開されています。

  GitHub - ambionics/cnext-exploits
  https://github.com/ambionics/cnext-exploits/blob/main/cnext-exploit.py

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《株式会社ラック デジタルペンテスト部》

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